瑪瑙が人目を避けて裁縫をしているのは、別に不思議な光景でもない。
最近はほとんどの子が知っているし、誰もそれをおかしいとは思わない。
だが、今俺の目の前で行われている光景は、どこか不思議な……まぁ、そんな感じ。
「マスターっ……あうぅ」
「瑪瑙、それぬいぐるみ?」
瑪瑙の手にあるのは、UFOキャッチャーなどでよく見かけるぐらいの大きさのぬいぐるみ。
この手の物を作ること自体は、おかしなことではないだろう。
「間違ってたら悪いけど、もしかしてそれ殺生石さん?」
「う、うん……尻尾は、まだだけど。その、みんなには内緒で……」
「分かってるよ。でも、できたら渡すの?」
「そのつもり、だけど。上手くできたら……」
とはいうものの、素人目からすればかなりいい出来だと思う。
「実はその、他の子も作ってみたんだ。ほら」
かたわらに置いた箱の中身をこちらに見せる。
そこには色とりどりのドレスを着たぬいぐるみが数個。
「マスター、ちゃんとできてるか見てもらえるかな?」
「ああ、いいよ。これは黒曜石か?」
「うん。見慣れている子から作ってみたんだ」
手のひらよりも大きな黒曜石のぬいぐるみ。
ディフォルメされた顔が、やたらと可愛く見える。やはりいい出来だと思うが。
「いい感じじゃないか。もっと自信持っていいんじゃないか?」
「そうかな、ふふ」
と、照れ笑いを浮かべる。
「これは全員作るのか?」
「うん。最初は裁縫の練習でやっていたんだけど、やめられなくなっちゃって」
「へぇ……あれ、そういえば自分のは作ってないのか?」
箱の中を見てみても、他の子ばかりで瑪瑙のぬいぐるみは見あたらない。
そして、この質問を受けて瑪瑙が顔を赤くしている。
「そ、その……えーと……作る、つもりだよ。うん、そのつもり」
「そうか。じゃあコンプリート目指して頑張らないとな」
「うん……」
どこかぎこちない反応。こうなるとちょっと話を合わせづらくてなぁ……。
まぁ、瑪瑙がこんな感じになるのはよくあることだ。いい加減慣れないとな。
「よし、じゃあお茶淹れてきてやるからちょっと待ってな」
「え、そんな。それは僕が……」
「いいって。たまには俺がやったってバチは当たらないだろ?」
◇ ◇ ◇ ◇
マスターの足音が遠ざかっていく。
「……はぁ」
さっきは箱から殺生石さんのぬいぐるみを出してごまかしたからいいけど、あんなのを見られたら恥ずかしくて……。
その恥ずかしいのおおもとを取り出す。
……本当は、自分のぬいぐるみはすでに作ってある。
ただ、他の子とは違う。このぬいぐるみは、二つで一つ。
……どうしてこんな仕様にしたのか、冷静になってみるとよく分からない。
でもきっと、本当はそういうことを望んでいる。きっとそうなんだ。
膝の上で笑顔を浮かべるぬいぐるみ。
男の人と手を繋いで、楽しそうに……。
最近はほとんどの子が知っているし、誰もそれをおかしいとは思わない。
だが、今俺の目の前で行われている光景は、どこか不思議な……まぁ、そんな感じ。
「マスターっ……あうぅ」
「瑪瑙、それぬいぐるみ?」
瑪瑙の手にあるのは、UFOキャッチャーなどでよく見かけるぐらいの大きさのぬいぐるみ。
この手の物を作ること自体は、おかしなことではないだろう。
「間違ってたら悪いけど、もしかしてそれ殺生石さん?」
「う、うん……尻尾は、まだだけど。その、みんなには内緒で……」
「分かってるよ。でも、できたら渡すの?」
「そのつもり、だけど。上手くできたら……」
とはいうものの、素人目からすればかなりいい出来だと思う。
「実はその、他の子も作ってみたんだ。ほら」
かたわらに置いた箱の中身をこちらに見せる。
そこには色とりどりのドレスを着たぬいぐるみが数個。
「マスター、ちゃんとできてるか見てもらえるかな?」
「ああ、いいよ。これは黒曜石か?」
「うん。見慣れている子から作ってみたんだ」
手のひらよりも大きな黒曜石のぬいぐるみ。
ディフォルメされた顔が、やたらと可愛く見える。やはりいい出来だと思うが。
「いい感じじゃないか。もっと自信持っていいんじゃないか?」
「そうかな、ふふ」
と、照れ笑いを浮かべる。
「これは全員作るのか?」
「うん。最初は裁縫の練習でやっていたんだけど、やめられなくなっちゃって」
「へぇ……あれ、そういえば自分のは作ってないのか?」
箱の中を見てみても、他の子ばかりで瑪瑙のぬいぐるみは見あたらない。
そして、この質問を受けて瑪瑙が顔を赤くしている。
「そ、その……えーと……作る、つもりだよ。うん、そのつもり」
「そうか。じゃあコンプリート目指して頑張らないとな」
「うん……」
どこかぎこちない反応。こうなるとちょっと話を合わせづらくてなぁ……。
まぁ、瑪瑙がこんな感じになるのはよくあることだ。いい加減慣れないとな。
「よし、じゃあお茶淹れてきてやるからちょっと待ってな」
「え、そんな。それは僕が……」
「いいって。たまには俺がやったってバチは当たらないだろ?」
◇ ◇ ◇ ◇
マスターの足音が遠ざかっていく。
「……はぁ」
さっきは箱から殺生石さんのぬいぐるみを出してごまかしたからいいけど、あんなのを見られたら恥ずかしくて……。
その恥ずかしいのおおもとを取り出す。
……本当は、自分のぬいぐるみはすでに作ってある。
ただ、他の子とは違う。このぬいぐるみは、二つで一つ。
……どうしてこんな仕様にしたのか、冷静になってみるとよく分からない。
でもきっと、本当はそういうことを望んでいる。きっとそうなんだ。
膝の上で笑顔を浮かべるぬいぐるみ。
男の人と手を繋いで、楽しそうに……。
「瑪瑙、お茶菓子何がいい?」
「えっ、あ、まっ、任せるよっ」
台所からの声。
早く、完成するといいな、これ。
……さて、どこに隠そうかなぁ。
「えっ、あ、まっ、任せるよっ」
台所からの声。
早く、完成するといいな、これ。
……さて、どこに隠そうかなぁ。
「瑪瑙、さっきから何こっち見てるんだ?」
「ん、何でもないよ。マスターと一緒にいるのが楽しいだけだよ」
「そうか、ならいいけど」
「ん、何でもないよ。マスターと一緒にいるのが楽しいだけだよ」
「そうか、ならいいけど」
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