第4章 保育の計画及び評価

保育所は、第1 章( 総則)に示された保育の目標を達成するために、保育の基本となる「保育課程」を編成するとともに、これを具体化した「指導計画」を作成しなければならない。
保育課程及び指導計画( 以下「保育の計画」という。) は、すべての子どもが、入所している間、安定した生活を送り、充実した活動ができるように、柔軟で発展的なものとし、また、一貫性のあるものとなるよう配慮することが重要である。また、保育所は、保育の計画に基づいて保育し、保育の内容の評価及びこれに基づく改善に努め、保育の質の向上を図るとともに、その社会的責任を果たさなければならない。
保育所は保育の目標を達成するために、第2 章( 子どもの発達)、第3 章( 保育の内容)に示された子どもの発達の基本的な考え方や保育の内容等の理解に基づき、計画性のある保育を実践することが必要
です。そして、計画、評価、改善という一連の保育の過程を通して保育が行われることにより、保育の質の向上が図られるようにすることが重要です。

【子どもの主体性の尊重と計画性のある保育】
保育所における保育の基本は、子どもの主体性を尊重し、子ども自らが環境に関わり、環境との相互作用を通して多様な体験をすることで、子どもが心身共に健やかに育つことです。その際、保育士等の役割として大切なことは、子どもが発達に必要な経験を積み重ねていくことができる環境を計画的に構成し、子どもの心身の状況により適切な援助をすることです。
乳幼児期の発達特性と一人一人の子どもの実態を押さえ、計画を作成し、見通しを持って保育することにより、保育所が子どもにとって、安心できる心地よい生活の場となり、第1 章総則に示される「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」ことを可能にするのです。
保育所で、子どもの主体性を尊重することは、子どものやりたいこと、やろうとしていることを好き放題、勝手気ままにさせることではありません。子どもの生きる力、伸びようとする力が発揮され、心身共に健やかに育つためには、一人一人の育ちを見通し、発達過程を押さえて保育を組み立てていくこと、すなわち計画性のある保育が必要です。
計画性のある保育とは、一貫性と柔軟性を尊重した保育です。ここでいう一貫性とは0 歳から就学前までの育ちを見通して保育所での日々の生活をデザインすることを意味します。また柔軟性とは、計画通りに「させる」「やらせる」保育ではなく、その時々の子どもの状況に応じた応答的な環境の構成や援助を行うことです。
子どもの状況を理解することなく一貫性や計画性のない保育が行われると、子どもの生命の保持や情緒の安定という保育の基本さえも確保されないことになります。
保育は、子どもと保育士等との相互の多様な関わりが継続していく過程です。したがって、保育の計画は、発達や生活の連続性に配慮したものであることが重要です。
各保育所は、保育目標を明確にし、その目標を達成するために、保育の方向性を予測し、子どもの実態に応じて計画を作成します。
また、実際の保育の中では発展的に環境を再構成するなど保育士等の適切な判断のもとに柔軟に保育が展開されることが求められます。

【「保育計画」から「保育課程」へ】
第1 章( 総則) に示されているように、子どもをめぐる社会の状況が変化する中で、保育所が担う社会的役割はますます大きなものとなっています。子どもの最善の利益を保障しその責任を果たしていくためには、今まで以上に保育の質の向上が求められます。何よりも大切なのは、一人一人の職員の人間性や専門性を高めることと保育所全体が組織として計画的な保育実践とその評価、改善という循環的な営みによって保育の質の向上を図ることです。そのため、保育の実践において組織性及び計画性をより一層高め、保育所保育の全体的な構造を明確にすることが必要となります。
保育所では、子どもの家庭環境や生育歴、また保育時間や保育期間も一人一人異なります。保育に当たる職員も、保育士はじめ様々な職種、勤務体制で構成されています。こうした状況を踏まえ、子どもの発育・発達を一貫性を持って見通し、発達過程に応じた保育を体系的に構成し、保育に取り組むことが重要です。
こうしたことを踏まえ、今般の改定では、これまで「保育計画」としていた保育の全体計画を「保育課程」と改めることとしました。そして、保育課程を他の計画の上位に位置付け、全職員の共通認識の下、計画性を持って保育を展開し、保育の質の向上を目指すことが重要とされました。
保育所保育の根幹となる「保育課程」という新たな、そして、包括的な捉え方は、保育所保育の全体像を描き出したものといえます。すなわち、生活する場や時間、期間がどのような状況であっても、乳幼児期に共通する発育・発達の過程を基盤に、家庭や地域等、多様な側面に目を向け、入所しているすべての児童の生活の場をデザインし、保育を展開していくということを重要視したのです。
最終更新:2009年01月10日 21:44
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