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わたしは どうして 夢を見ないのだろう?
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私は父親が好きだ。彼との思い出は多くはないが、どれもが貴重な思い出だ。
幼い時、肩車をしてもらった、あの楽しさが忘れられない。
大きな背中におぶってもらいると、ついついそのまま遊び疲れて、寝てしまったこともあった。
滅多に笑わない父だったが、私といるときはいつも優しげに微笑んでいた事を覚えている。
そんな父親が、私は大好きだった。
私の名前は空条徐倫。
私は父親が嫌いだ。彼と会うときはいつも悪い話を聞かされるからだ。
父親は私に興味がない。母にも興味がない。私が問題を起こしても、彼とはいつも電話越しでしか会えなかった。
母と私を残し別居すると言った時も、離婚すると言った時も彼の声は波一つ立てなかった。
そんな父親が、私は大嫌いだった。
私の名前は空条徐倫、私は―――
「違う……。これは、“わたし”だ。これは、空条徐倫ではない……」
……私の名前は空条徐倫。
私は今、悲しんでいる。私は今、後悔している。
父親ともっと話しておきたかった。私の気持ちをもっと、伝えたかった。
私の心の中に、常に父親はいた。いつだって父を求め、信じて、待っていた。
私の元に駆けつけてくれる父親を、私はいつも待っていた。
父親なら私を救ってくれる、父親なら何があろうと私を守ってくれる、信じてくれる。そう思っていた。
大好きだった。愛していた。
そんな父はもう、いない。
「ならば、何故怒る……? 裏切られたから怒ったのか? 失ったことを怒っていたのか?」
…………私の名前は空条徐倫、
私は友人といるのが好きだ。彼らと、彼女らと一緒に過ごす時間はかけがえのないものだ。
彼らといると私の心は安らいだ。彼女らといるといつも笑いが絶えなかった。
馬鹿なことをした。いたずらもした。ふざけ合って、くだらない事で盛り上がって、大騒ぎもした。
エルメェス・コステロ、エンポリオ・アルニーニョ、
ウェザー・リポート、
ナルシソ・アナスイ、そしてF・F(エフ・エフ)。
誰一人かけることのできない、大切な仲間だ。
「『えふ………、え、ふ………?』」
F・F(エフ・エフ)……?
「空条徐倫……お前はいったい何者なんだ? お前はいったい誰なんだ?
なぜわたしを知っている? この記憶は何だ? 一体、お前は何を見たんだ?」
知りたい、お前がいったい何者なのか。
知りたい、わたしがいったい何者になろうとしていたのか。そして、わたしはいったいどこに向かって行ったのか。
農場だけが私の世界だった。ホワイトスネイクとトラクター、DISCと知性だけが私の世界。
失うことはとても怖い。消え去るのは心底恐ろしい。
存在していられないのであれば、そこに一体何の価値があるのだろうか。
それが私だったはずだ。その事に疑問を感じたこともなかったし、不思議に思ったこともなかった。
だから、私は知りたい。
彼女にとってわたしとは何だったのか。わたしにとって彼女とは何だったのか。
そして、さよならを言うとはどういう気持ちなのか。
「……行こう」
空条徐倫、わたしはお前の事を知りたい。
空条徐倫、わたしはお前になりたい。
「GDS刑務所……そこに行けばなにかわかるかもしれない」
わたしはいったい何者なのか。お前はいったい何者なのか。答えはお前自身に、そしてわたし自身に問うとしよう。
今、この時からわたしが空条徐倫だ。
「徐倫……あたしの名前は空条徐倫です」
◆
失う時が いつか来る事も 知っているの あなたは悲しいほど
それでもなぜ生きようとするの 何も信じられないくせに そんな寂しい期待で
◆
【C-3 サンタンジェロ橋/一日目 黎明】
【
F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:農場で徐倫たちと対峙する以前
[状態]:健康、空条徐倫の『記憶』に混乱
[装備]:空条徐倫の身体、体内にFFの首輪
[道具]
基本支給品×2、ランダム支給品1~4
[思考・状況]
基本行動方針:存在していたい
0.GDS刑務所へ向かう
1.空条徐倫を知り、彼女となる
2.自分の存在のため、敵を殺すしかない
3.消失したはずのDISCがあったら守りたい
【備考】
※F・Fの首輪に関する考察は、あくまでF・Fの想像であり確証があるものではありません。
※空条徐倫の支給品(基本支給品、ランダム支給品1~2(空条徐倫は確認済))を回収しました。
※空条徐倫の参戦時期は、ミューミュー戦前でした。
※体内にFFの首輪を、徐倫の首輪はそのまま装着している状態です。
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最終更新:2012年07月19日 22:15