◆
「なんで助けたんですかッ!? なんでッ!?」
吠える様に、唸るように康一がそう言った。康一に胸ぐらを掴まれた
マウンテン・ティムは、何も言えず俯いた。
カウボーイハットを深くかぶりなすと、その表情を暗く影に隠れるようにする。しかし大きく俯いてもその口元までは隠しきれなかった。
怒りに震えるその唇を。真一文字に結ばれたその口元を。
マウンテン・ティムは口を開く。その声は自らに対する怒りで低く、くぐもっていた。
「君が俺を殴りたいというのであれば甘んじてそれを受けよう。君が俺を罵倒して気が済むならばいくらでもそれにつき合おう」
「そんな話がしたいんじゃないッ! 僕が話したいのは……ッ!」
「君を救うためだ。君を助けるためにはどうしたって誰かが足止めしなきゃいけなかった。
誰かがあの化け物を相手にする必要があった。そしてあの娘はそれを望んだんだ。
だから俺はそうした。ああ、そうさ、康一君。俺は逃げたんだよ。彼女を見殺しにした。彼女を助けにずに、時間稼ぎの生贄に利用した。
責任があるというのであれば判断を下した俺だ。俺の……この俺の、ミスだ」
「……ッ!」
矛先のない怒りが康一の中を駆け巡った。
八つ当たり気味に振りあげた拳はマウンテン・ティムの胸の前で止まり……かわりに地面に向かって叩きつけられた。
違う……違うッ! 康一もわかっていた。マウンテン・ティムはあえて悪者になろうとしている。
康一の向けどころのない怒りを受け止め、その感情のはげ口になろうとしてくれている。でも違う。康一もわかっているのだ。マウンテン・ティムは何も悪くない。
むしろ彼のおかげでこうして康一は生きていられるのだ。今身体を駆け巡る怒りがあるのも、電流のように流れる節々の痛みも、全てティムが救ってくれたおかげだ。
「……悪いのは、僕なんだ」
重苦しい沈黙を切り裂くように、康一がそう言った。
―――そうだ、由花子さんを殺したのは……僕だ。
「僕がもっと強かったなら! 僕がもっと冷静だったなら! 僕がもっと辺りを見ていられたら! 警戒を怠っていなければ!
僕が……僕が……僕がッ! 全部僕がいけなかったんだッ! 由花子さんを殺したのは僕だッ!」
「……康一君」
せきを切ったように康一の口から言葉が溢れだした。途中からその声は涙でぬれ、ほとんど何を言っているかわからないほどになっていた。
康一を励ますようにマウンテン・ティムが肩に手を置く。その手は暖かった。
しかし……康一はそっとその手を引きはがす。その優しさに溺れてはいけない。その甘さに目をそむけてはいけない。現実を見つめるんだ。
山岸由花子を殺したのは……僕だ。由花子が死んだのは、広瀬康一が……弱かったから。
好きになったわけではない。まだ会って数時間、共に過ごした時間は数えるのも馬鹿らしくなるほどの短い間だ。
恋人になりたいとかだとか、共に生きていたいだとか……そんなことを問われれば、わからない、と康一は答えるだろう。
二人が過ごした時間はあまりに短く、入り組んでいた。それでもきっと出会い方が違ったなら……そう思ったのも事実である。
第一印象は最悪だった。なんだこの人は。なんなんだこのヒステリックな女の子は。正直に言えばそう思った。
しかしそれだけじゃないのだ。彼女の言葉を受け止め、彼女の視線を見つめ、一度だけではあるが共に戦い……康一は由花子の中にある強さも見ていた。
そのダイヤモンドのように固く輝く彼女の強さに……見とれていたのも事実である。いや、正確に言えば見惚れていた。
少しずつではあるがハッキリとイメージは浮かんでいた。そうか、未来の僕はこの人と一緒に過ごすのか、と。
一緒に学校に登校したり、休日には買い物に出かけたり、ご飯を食べに行ったり、映画を見に行ったり……。
そう思うと悪くないなという気持ちだった。恋人だとかは置いておいても結構僕たち、いい友達になれるんじゃないかって本気で思ったりした。
「…………守れなかった」
しゃがれた声で康一がそう言った。
だけどそう思った少女はもういない。康一に輝く未来を見せてくれた少女は死んでしまったのだから。
糸が切れた様に全身から力が抜ける。崩れ落ちた身体でその場にうずくまり、康一は地面を見つめた。
とりとめもなく、涙が溢れた。後から後から感情がこみあげてきて、それはどうしようもなく止められなかった。
由花子が笑うことはもう二度とない。嫉妬に怒り狂うこともなければ、不機嫌そうに顔をしかめることも、もう、ない。
彼女と共に歩む未来はその手をすり抜け、二度と掴めない。友達から始めませんか、そう言って差し出した手を由花子が握ることも決してないのだ。
守れなかった、未来の恋人を。友達になって欲しいと差し出した手を握った女の子を……守れなかったのだ、康一は。
康一は大声をあげて泣いた。少女の名を呼び、情けない自分を呪い、地面を叩き、涙した。何度も、何度も叫び、泣いた。
いっそのこと喉が張り裂けてしまえと康一は思った。地面を叩く拳も壊れてしまえばいい。なにもかもが、もう、どうでもいい!
康一は自らを罰するかのように、ずっとそうしていた。
だって由花子さんは痛みすら感じられなくなってしまったじゃないか。だって由花子さんは僕のせいで死んでしまったじゃないか……!
少年の叫びが辺り一面にこだまする。
マウンテン・ティムは何も言わず、ただ康一の傍で立ちつくすことしかできなかった。何もすることができない自分がふがいなかった。
獣のような吠え声が住宅街に響き渡る。康一の叫びはいつまでも、いつまでも途切れることなく、辺りに轟いていた。
【山岸由花子 死亡】
◆
―――物語を少々遡って……
「ちょっと、えと、由花子さん……!?」
「しょうがないじゃない、こうしてないと危ないんだから」
「そんなこと言ってもこんなにくっつかないでもいいじゃないかな……?」
暗闇に包まれた民家の、その中でもさらに暗い場所でのこと。康一と由花子は身を寄せ合って辺りの様子を伺っていた。
先の由花子と康一の戦いで辺りには木片が散り、家具は壊れ、部屋中がひっちゃかめっちゃかな状態になっている。
由花子が伸ばしたラブ・デラックスは依然辺りに広がったままで、その一番濃い部分、中心地に二人は寄りそうにように立っていた。
由花子はそっとスタンドを動かすと伸ばしていた髪を集め、二人を包むように展開していく。
それはまるで巨大な繭のようだった。真っ黒で、禍々しくて、人二人をゆうに包み込める大きな繭。
二人がぴったりと体を寄せ合っているのでそれほど窮屈ではない。怪我をしている康一も由花子が気を使ってラブ・デラックスで支えているので、問題なく立つことができている。
敵のスタンドはなにか光に関連したものだろう、と二人はあたりをつけていた。
ガラスに映ったぼんやりした影。康一を襲った謎の閃光。おおまかであるが何かしら光が関連しているか、あるいは光を利用したスタンド攻撃なのではないだろうか。
康一も由花子もスタンドによる戦いの経験は少ない。戦いながら相手のスタンド能力を推測することにはまだ慣れていないのだ。
とにかく、二人はとりあえずの防御態勢を取ることにした。
由花子のラブ・デラックスで光を遮る。同時にクッションのように二人を包み込むことで突然の襲撃にも対応できるようにする。
康一の傷はそれほど深くはない。依然出血があるものの、それも由花子の応急処置で対処できている。
言い換えれば、相手の攻撃は『それまで』の攻撃なのだ。
謎の襲撃者のスタンドは由花子のラブ・デラックスのように窓をぶち破ったり、人を持ち上げたりすることはできない。
康一のエコーズのように、火を発生させたり、音をぶつけたり、そういう能力もないようだ。
ならば由花子のラブ・デラックス二人をで包めば、光が差し込むこともないし、ある程度の攻撃も防げるだろう。
無論それで全ての攻撃が防げるわけではないだろうし、繭の中であれば安全が保障されているわけでもない。
最大限の防御を引いているだけで、いずれは破られる可能性だってある。ラブ・デラックスを貫く一撃もあるだろうし、二人のスタンド予測が的外れな可能性だってある。
結局のところ、あとは戦いの中で見つけていくしかないのだ。経験が皆無と言っていい、スタンド使い二人の力を合わせて、戦うしか……!
「それで、どうするつもりなの?」
黒繭のなか、由花子が康一にそう尋ねる。今の状況、正直言えば防戦一方だ。
「一応助けは呼んでおいたよ、僕の『スタンド』でね」
「……そんなので大丈夫なの? 助けにやってきたところを逆に返り討ち、なんてなったら目も当てられないわよ」
「大丈夫だよ、僕は仗助くんたちを信じてる。すっごく便りになる人達なんだ。由花子さんもきっとすぐ友達になれるよ」
「……まぁ、いいわ。それでその助けが来るまで呑気にここで待ってればいいのかしら?」
「由花子さんは何か考えある?」
「……自分で聞いておいて言うのも何だけど、ない、わね。光が攻撃になるって言うならこの防御を解くのを相手がまっている可能性は高いでしょうね。
外に逃げようものなら光に身をさらすことになるからそれは危険。暗闇で隠れていても相手の能力次第では懐中電灯も必殺の道具になる。
お手上げ、かしら? 動いた途端やられるとわかっている以上、下手に動かずこうしているのが最善策……。
じれったいわね。まるで壁越しに拳銃を突きつけられたみたい」
「我慢比べってことかな? 一応僕のスタンドで少しずつあたりを伺ってみるよ」
「あまり無理しちゃ駄目よ」
「わかってるって」
二人がそうしてからどれくらいの時間が経っただろう。焦れる様な、ひりつくような緊張感の中を二人は長い事ただ待っていた。
由花子が康一の怪我の様子を見直したり、エコーズでほんの一瞬だけ辺りを見回ったり……。
結構な時間がたったが、その間に何か起きるわけでもなく、かえってそれが二人を不安にさせた。
繭の外の様子に変化はなかった。薄暗い部屋、照りつける太陽、静寂に包まれた住宅街。襲撃者の影一つ見当たらなかった。
康一は少し危険を犯してまで先に自分が攻撃を喰らった窓ガラス辺りを調べてみたが、そこにも人影は見当たらなかった。スタンドの気配もなかった。
諦めたのだろうか……? いや、まさか。
敵は二人が戦っている最中も、粘り強く隙を伺っていたようなヤツなのだ。獲物の位置がはっきりとしている今、そんなヤツがこのチャンスを逃すだろうか?
現状由花子と康一は圧倒的不利な状況におかれている。そうまでして追いつめた獲物を、わざわざ諦める様なことをするだろうか?
いいや、しないだろう。必ずや相手は何か仕掛けてくる!
由花子と康一が光に身を晒さざるを得ない状況を作り出す……ラブ・デラックスから二人を引きずりだす攻撃を仕掛けてくる……。
そう、そんな風にならざるを得ない何かを……! 必ずや、何かを仕掛けてくるッ……!
「ねぇ」
唐突に由花子が言った。振り向いた康一の視界に写るのは暗闇のみ。辺りは真っ暗なため由花子がどんな顔をしているかわからない。
だがどことなく不機嫌な声音だった。恐怖と言うよりは、不愉快だと言わんばかりの声だ。
「なんだか熱くない?」
確かに少し康一も汗をかいている。だがそれは気にするまでもない、普通のことだと思っていた。
髪の毛の繭に包まれている今、その性質から汗をかくのも不思議ではないと思っていた。髪の毛の保温性は高いし、その中にいる二人が熱く感じるのは当然のことだ。
しかしよく考えてみれば、確かにおかしい。由花子も汗をかいてる。自分も汗をかき『始めている』。
「まさか……」
康一は思わずそう呟いた。即座にスタンドを呼び出すと外の様子を慎重にうかがう。
この現象が意味することは気温が上昇しているという事実。それも汗をかくほどまでに、急激に! 急速にッ!
そしてそれが意味することは即ち……!
「エコーズッ!」
スタンド越しに見た民家は数分前とはうって変わって明るく、光を放っていた。康一の口から思わず呻き声が漏れる。
火だ……! 敵は火を放っていた! 籠城を決めこんだ由花子と康一に対して相手がとった手は古典的だが効果抜群の策ッ!
火炙り、火攻め、炎の流法! しかもただの火炙りではない。敵には同時に光を使った攻撃手段もあるのだッ!
それが意味するものは即ち、火と光の挟み撃ち! 火から逃れようと動けば光のスタンドが容赦なく二人をねらう。光のスタンドから身を隠し続ければいずれは二人に火の手が伸びる。
攻撃は既に完成していた! 相手は何もしていなかったわけではない。『既に』だッ!
二人の策、そして由花子のラブ・デラックスを前に『襲撃は完了』していたのだッ!
「由花子さん」
「……覚悟を決めろ、って顔してるわね」
「火、凄く広がってた」
「…………なるほどね」
「……」
「なら仕方ないわね」
「え?」
そう言って由花子は康一を強く抱きよせた。突然のことに康一は何が何だかわからないという顔をしている。
「康一君、まさかと思うけど貴方こんな風に考えてないかしら。
僕が囮になる、だからその間に逃げて、とか。それか僕が敵の注意をひきつける役をするからその間に安全な場所まで走ってだ、とか。
僕がなんとかしている間に近くにいるはずの仲間を呼んできて、だとか」
図星だった。由花子は康一が考えていたことを、まさに言い当てた。
康一には覚悟も度胸もなかった。由花子と一緒にこの場で焼け死ぬという覚悟と度胸も。共に手を取り逃げだす覚悟と度胸も。
由花子を死なすわけにはいかない。だけどこれと言った策が思いつくわけでもない。そんな康一が思いついたことといえば愚直なまでに身体を張ることだけだった。
英雄(ヒーロー)のように、その身一つで全てを抱え込むこと。女の子を守ること、庇うこと。
「まぁ貴方が考えそうなことよね。でもね、敵もそんなこと承知で火を放ったんじゃないかしら。
火を放つまでかかった時間から考えても相手はなかなか頭が回るヤツよ。下手に康一君が囮になったとしても最悪二人ともやられる、なんてこともあるわけ」
「じゃあ、どうしろって……?」
「それはね……」
だが由花子は断じてただの女の子ではない!
彼女はスタンド使いだ。そして何より守られるだけの女の子では決してないし、ましてや庇ってもらうべき者でもないッ!
由花子は夢見る少女だ。広瀬康一に恋する少女だったのだ!
二人を包んでいた繭が狭く、そして少しだけ薄くなる。エコーズをひっこめた康一にはなにが起きているかがわからない。
いったいこの繭の外で、由花子が何をしようとしているのか、何をしているのか。
問いかける様に見上げても、由花子は何も答えてくれなかった。途切れた言葉はふわりと宙に浮かび、どこに落ちるわけでもなく宙ぶらりんでぶら下がっている。
由花子は鋭く輝く目で康一を見返し、ほんの一瞬微笑んだだけだった。そして次の瞬間、キッ、と表情を険しいものに変えると彼女は叫んだ。
由花子が康一を抱き寄せたのは“こうする”ためだ。
『ラブ・デラックス』がその黒い体を振るわせる。それはまるで暴れるまえに大きく息を吸い込む、巨獣のようで。
「正面からぶち壊すッ!」
由花子の言葉と共にラブ・デラックスがその力を解き放った! 二人を中心として四方八方伸びていく髪の毛。とてもじゃないがそれは髪の毛には見えなかった。
それを髪の毛と呼ぶには、あまりに太く逞しすぎた。電信柱をゆうに越す長さと大きさで、ラブ・デラックスが辺りにあるもの全て、なぎ払っていく。
それはまるで黒い濁流! 何百、何千もの髪の毛を一つにまとめ上げ、力任せに振り回す! その力は民家の柱を叩きおり、窓を粉砕し、壁をも突き破る!
ガードに回していた髪の毛をも動員したこの圧倒的破壊力ッ!
未だ内側にいるためその全貌を見ることは叶わないが、突然聞こえてきた轟音に康一は眼を白黒させて驚いたッ!
「焼け死ぬ? 酸欠で死ぬ? そんなのはまっぴらごめんねッ
そんな風にここで小さくはいつくばっているぐらいなら、いっそのこと全部ぶっ壊してやるわッ」
半壊していた家は由花子が言葉を吐くごとに、更にその安定感を失っていく!
傾いた屋根が更に大きく傾く! 家を支えていた大きな柱が、由花子の暴力的な衝動を前に堪え切れず折れ始めるッ!
「火がなんだっていうの? 炎? 火災? ならその火ごとこの家と共に押しつぶすッ!
敵が近くにいるかもしれない? 好都合よ。なら私たちと一緒にまとめて民家の影に叩き落とすッ!」
折れまがった水道管から勢いよく水が噴き上がる! 降りそそぐ天井が、瓦礫の破片が火を押しつぶし消していくッ!
由花子の狙いはこれだ! 遠い昔、江戸時代に人々が火災の際に柱を倒し、家を壊したのと同じこと!
燃え広がる前に、叩き壊す! シンプルだが効果は抜群だッ! それに彼女のスタンドならば家の内側から壊しても押しつぶされるようなことはない。
なにより今の彼女は恋する乙女なのだから。憧れの彼のまさに眼の前でいるのだから! カッコ悪いところなんて見せていられようかッ!
やがて遂には砕け落ちてきた天井をも由花子はスタンドで支えると、ぐっと力を込めて投げ飛ばす。
勢いよく跳んだ残骸が地面ではねあたり、轟音を立てて崩れていく。
砂埃があたりを包み……そして静寂が響いた。聞こえるのは未だ吹きあげ続ける水の音。そして僅かに燻る残り火の音。
再び火が燃え上がるようなことはないだろう。なぜなら辺りにはもはや由花子と康一を残して一切なにも残ってないのだから。
暗闇が二人を包んでいた。薄く残ったラブ・デラックスを透かしてみても辛うじて残った瓦礫が積み重なり、大きな影として日光を遮っている。
呆然としたままの表情で康一が由花子を見つめる。何を見るでもなく立ちつくしていた由花子はその視線に気づくと振り向き、そしてにっこりと笑った。
その時、康一の脳裏に浮かんだのは仗助と噴上の言葉だった。
放送前のちょっとした時間、由花子について話をした時、二人はとっっても微妙な顔をしていたことを康一は思い出した。
曰く、見ればわかる。あんまりアイツのことは話たくねェ―な。とにかくパワフルなヤツだ。プッツンしてるが悪いヤツじゃない。
その言葉が今になってようやくわかった。
眼の前で微笑む山岸由花子を見て、広瀬康一は一つの真実を悟った。
自分は決して山岸由花子に敵わない。自分は一生この娘に勝つことはできないだろう、と。
山岸由花子。ただの少女でありながら彼女が持つ底なしのエネルギーを前に、康一は何も言うことができなかった。
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最終更新:2013年01月31日 09:46