とら(虎)

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日本国語大辞典 名詞 ① ネコ科の哺乳類。体長約二メートルから大きなもので三メートル以上に達する。体の上面および側面は黄褐色で黒い横縞があり、下面は白い。尾は長く、黒い縞が並ぶ。雄にはよくほおひげが発達。森林や竹やぶに単独ですみ、水にもよくはいる。鋭い牙と頑健な釣状の爪を持ち、主に夜活動しシカやイノシシを捕食。地域によって大きさや体毛にやや変化があり、チョウセントラ、インド産のベンガルトラなど八亜種に分けられる。一般に北方産の方が大きい。アジアの特産種で、シベリア南部からインド、ジャワにかけて分布するが、どの地域でも生息数が激減し絶滅が危惧されている。 日本書紀(720)天武朱鳥元年四月(北野本訓)「新羅の進る調、筑紫より貢上(たてまつ)る。〈略〉綾羅(うすはた)・虎(トラ)豹皮(おかつかみのかは)及び薬物の類」
② 「からねこ(唐猫)」の異称。 浄瑠璃・頼朝三嶋詣(1678)三「御ひざうの手がひのとらをめしよせ〈略〉しばしたはふれたまひける」
③ 比喩的に、勇猛果敢な人。また恐れ重んじられる人。 愚管抄(1220)七「もちゐる時はとらとなるべき人はさすが候(さぶらふ)らんものを」
④ 酔っぱらい。泥酔者。 雑俳・化粧紙(1826)「とんとんと・虎の鼾をきく女房」
広辞苑 名詞 (タイ語系南方語起源か)
①ネコ科の哺乳類。アジア特産。頭胴長2メートル、尾長90センチメートルに達する。雌は雄より小形。黄色の地に黒の横縞をもつ。シベリアからアジア東北部、東南アジア、インドなどの森林に生息。毛皮用に乱獲され、現在では各地で保護されている。多くは単独で森林・水辺にすみ、昼間は洞穴などに潜み、主に夕方から活動し、水泳も巧みで種々の獣や鳥を捕食。
万葉集16「(から)国の―と云ふ神を」
②俗に、酔っぱらい。 「大―」
大言海 名詞 〔朝鮮ノ古語、つるぽおむノつるノ轉ハ、とらナリ。此ノつるハ毛ノ斑、(ツル)ノ義、彎曲ノ線ニテ、國語ノつるト暗合ス、ぽおむハ虎豹ノ類ヲ稱スル語。(白鳥庫吉ノ說)或ハ、人ヲ捕る意ノ名ト云フハイカガ。或ハ云フ、支那ニテ、楚人、虎ヲ 於菟 (オト)ト云フ、於ハ發聲ニテ、(越ノ於越ノ如シ)其菟ヲ傳ヘテ、らノ助語ヲ添ヘテ云ヘルナリト云フ。此說モ附會ナラムカ〕
猛獸ノ名。亞細亞大陸ニ多シ。高サ三尺許、長サ六尺許、大ナルハ丈許。頭、猫ニ似テ、體ニ比ブレバ小サク、尾長シ。獅子ニ次ギテ猛クシテ、他獸ヲ捕リ食フ。背ノ毛、黃赤色ニシテ、遍ク太キ黑線アリテ美シ、コレヲ 虎斑 (トラフ)ト云フ。敷物ナドトシテ珍トス。面、喉、腹下、色白シ。倭名抄、十八 廿 毛群名「虎、止良」
萬葉集、十六 廿九 長歌「韓國ノ、虎トフ神ヲ、イケドリニ」
同、同 十八 「虎ニ乘リ、古屋ヲ越ヱテ、靑淵ニ、 蛟龍 (ミヅチ)取リ來ム、 劒刀 (ツルギダチ)モガ」
平家物語、四、鵺事「頭ハ猿、胴ハ狸、尾ハ蛇、手足ハ虎ノ如クニテ、嗚ク聲、鵺ニゾ似タリケル」
吾妻鏡、三十七、寬元四年三月十三日「肥前國、三根西鄕、 刁延名 (トラノブミヤウ)
掌中曆(應永、賀茂在方)七十二候「大雪十一月節、(トラ)(ツルム)」(唐祖、諱虎ヲ避ケテ、武トシタルナリ、我邦ニテモ、彼書ヲ受ケテ記シ來タレリ)
本草和名、上 四十六 「虎杖、一名武杖」注「諱虎故也」
鷄林類事(宋、孫穆)「虎田監(蒲南切)今、ホランギ(虎狼)、又、ポオム」(現今朝鮮、 虎狼、斑 (ホウランギコラ)
和漢三才圖會(異本)三十八、獸「虎、保牟」

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最終更新:2025年08月03日 12:51