なり(助詞)

大言海
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助詞 〘 副助 〙
① ( 体言、体言に格助詞の付いたもの、活用語の連体形、形容詞の連用形、副詞、接続助詞「て」などを受け ) それ以外にもっと適当なものや事態があるかもしれないがたとえば、と例示する。「でも」に近い。「せめて兄弟なりあったらと思う」「新聞を読むなりして待っていてくれ」
浜菊(1908)〈伊藤左千夫〉「新しい本少しなり読んでると、粽の趣味なんか解らないぜ」
② ( 体言や活用語の連体形などを承け ) 同種の事柄を列挙し、いずれとこだわりはしないがどちらかを選択する意を表わす。 人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)四「手切なり、足切なり出してやって」
[補注]( 1 )①②いずれも断定の助動詞「なり」の終止形がもとであるが、①は「天草本平家‐四」の「サキヲモ リャクシテ naritomo(ナリトモ) ヲカタリアレ」のような用法から転じて助詞化したもの(→なりとも)、②は右のような用法と、「天草本平家‐四」の「ゴジヒツ nari(ナリ)、ゴザイハン nari(ナリ)、シンビョウ シンビョウト ユウテ」のように終止形を畳みかける用法との混合によるものであろうといわれる〔此島正年「国語助詞の研究」〕。
( 2 )「草枕〈夏目漱石〉一〇」の「ここならば、五六日斯うしたなり動かないでも」や「春泥〈久保田万太郎〉みぞれ」の「みるなり田代はキメつけるやうにいった」のような「なり」を副助詞または接続助詞とする説もあるが、体言と考えられる。(→名詞「なり(形)」[ 一 ]⑥⑧
広辞苑 助詞 ➊(文語の指定の助動詞「なり」から)
①(副助詞)幾つも考えられる中から一例として示す。→なりと
「疲れているから休む―するほうがいい」「私に―うち明けて欲しかった」
②(並立助詞)話し手にとってほぼ同価値のことを並立・列挙して選ばせる意を表す。 「残る―帰る―勝手にしろ」「困った時は、親―先生―に相談しなさい」
➋(名詞「なり(形・態)」からか)(接続助詞)
①(動詞型活用の語の連体形に接続)間を置かずに継起する二つの動作の、先行動作を表す。…するとすぐに。するやいなや。
「顔を見る―どなりつけた」
②(助動詞「た」の連体形に接続)かなりの時間が経過しても、起こったままの好ましくなれ状態が続いていることをいう。 「朝早く家を出た―になっている」「熱が上がった―下がらない」「服を着た―で寝る」

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最終更新:2025年10月25日 20:02