いく(生(自動詞イ))

広辞苑
辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 命を保つ。生存する。また、死ぬような状態からのがれて助かる。⇔死ぬ ※万葉(8C後)一八・四〇八二「あまざかる鄙(ひな)の奴(やつこ)に天人(あめひと)しかく恋ひすらば伊家(イケ)るしるしあり」
※徒然草(1331頃)一四〇「後は誰(たれ)にと心ざす物あらば、いけらんうちにぞ譲るべき」
② 死んだもの、死にかけたものが命をとりもどす。よみがえる。 ※霊異記(810‐824)上「逕(ふ)ること三日乃ち蘇(さ)め甦(イキタリ)〈興福寺本訓釈 甦 伊支太利〉」
③ 生命がこもる。生き生きする。 ※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉自序「一の実践的に生ける思想として」
[語誌]自動詞としては古くは四段活用のみであったが、平安末期頃から上二段活用が生まれ、次第に交替していった。和歌では「行く」を掛けて用いることもある。
大言海 自動詞 〔名詞形ニ、(イキ)(息)ト云フ、此語、古クハ、スベテ、四段活用ナリシガ如シ、但シ、已然形、命令形ハ見エヌヤウナリ〕
(一)(イキ)アリテ、世ニアリ。イキル。生存ス。(死ぬニ對ス)
垂仁紀、七年七月「(イカデ)强力者、而不 死生 (シニイクコトヲ)、頓( ム) 爭  ( フコトヲ)力焉」
萬葉集、六 三十 御民吾 (ミタミワレ) 生有驗 (イケルシルシ)アリ、天地ノ、榮ユル時ニ、()ヘラク思ヘバ」
同、十二 何時 (イツ)マデニ、 將生 (イカム)命ゾ、大方ハ、戀ヒツツアラズハ、(アラムヨリハ)死なムマサレリ」
拾遺集、六、別「龜山ニ、いく藥ノミ、アリケレバ、トドムル方モ、ナキ別レカナ」
源、一、桐壺「限リトテ、別ルル道ノ、悲シキニ、いかマホシキハ、命ナリケリ」
同、五十二、手習「其(チゴ)ハ、死ニヤ死ニシ、ト云ヘバ、いきテ侍リキ」
同卷 十七 「尼ニナシタマヒテヨ、サテノミナム、いく(ヤウ)モアルベキ」
今昔物語(治曆ノ頃)廿三、廿一語「相撲、脇ヲ搔テ、(オノ)()ナムニハ、生かジ、足立ナクテコソ生かメ、必ズ蹴侍ラム」
同、廿五、十一語、源賴信、盜人ニ「汝ハ、其童ヲ質ニ取リタルハ、我ガ命ヲ生いかムト思フ故カ」盜人「只、命ノ惜シク候ヘバ、生かムトコソ思ヒ候ヘバ、若シヤトテ、取奉リタル也」
(二)ヨミガヘルイキカヘル蘇生 靈異記、上、第五緣、屋栖古連公、卒「屍有異而馥矣、云云、經之三日、乃蘇甦矣」訓釋「蘇、 左米 (サメ)、甦、イキタリ」
動詞活用表
未然形 いか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 いき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 いく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 いく も、かも、こと、とき
已然形 いけ ども
命令形 いけ

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最終更新:2024年05月06日 20:45