いそ(磯イ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 石。岩。巖(いわお) ※万葉(8C後)一五・三六一九「伊蘇(イソ)の間(ま)ゆたぎつ山川絶えずあらば又もあひ見む秋かたまけて」 磯・礒・石
② 岩石の多い波打ちぎわ。湖、池、浜、海、川などに用いる。 ※古事記(712)中・歌謡「浜つ千鳥浜よは行かず伊蘇(イソ)伝ふ」
③ 特に海岸の波打ちぎわやその近くの海中で、岩塊や岩礁の多い所。 「磯遊び」「磯釣り」
④ 冠の縁(へり)の名。 〔元和本下学集(1617)〕
⑤ 琵琶、和琴(わごん)、箏の胴の側面の名。 ※楽家録(1690)七「磯、是左右腋之総名也」
⑥ 鞍の前輪、後輪の海に添う高いところ。
⑦ 官許を受けていない色里や町家。官許の遊里(京都島原・大坂新町)を「沖」と呼ぶのに対していう。 ※浮世草子・好色盛衰記(1688)五「身躰(しんだい)をおもひの外なる磯にて舟をそこなひ」
形容動詞 (「富士は磯」の略)
① はるかに及ばないさま。
※評判記・色道大鏡(1678)一「磯(イソ)。富士は磯といふ上略なり」
※浮世草子・武道伝来記(1687)七「古の田原藤太が勢田の橋は磯なり」
② 浅薄であるさま。未熟であるさま。下賤なさま。 ※浮世草子・男色大鑑(1687)六「礒(イソ)なる色遊びは目緩(めまたるく)て」
広辞苑 名詞 ①海・湖などの水際、特に石や岩の多い所。 古事記中「浜つ千鳥浜よは行かず―伝ふ」
②水中から露出している岩石。 万葉集15「―の間ゆたぎつ山川絶えずあらば」
③冠の前方の(へり)の称。後方の縁を海という。
④琵琶・ 和琴 (わごん)(そう)の胴の側面。
⑤鞍の前輪・ 後輪 (しずわ)の海に添う高所。
⑥(「富士は磯」の略)及びもつかないさま。比べものにならないさま。転じて、未熟・下賤なさま。 武道伝来記「さても早業、古の田原藤太が勢田の橋は―なり」。
傾城禁短気「こんな―な色などに詞かけるも外聞わるしと」
大言海 名詞 〔倭訓栞、いそ「磯ノ字ヲ()メリ、いしノ轉ナリ、云云、石ヲ、いそトモ讀ム」(あしこ、あそこ。 石上 (イソノカミ))玉篇「磯、水中(イシハラ)也」本邦ノ古書ニ、多ク、礒字ヲ用ヰタリ、唐韻「()、石巖也」ナドアルヨリ通用シタルモノカ〕
水邊ノ波打際ニ、岩石ノアル處。
古事記、上 四十一 長歌「打見ル、島ノ崎崎、搔見ル、伊蘇ノ崎オチズ」
相模國風土記「鎌倉郡、 見越 (ミコシノ)崎、每速浪石、人 名號 ( ヅケテ) 伊曾布利 (イソフリ)、謂石也」(萬葉集代匠記)
萬葉集、九 三十二 「玉津島、磯ノ 浦閒 (ウラマ)ノ」
下學集(文安)上、天地門「(イソ)、礎、二字義同」(礎ハ、磯ノ誤ナルベシ)
古今集、七、賀「しほの山、 差出 (サシデ)ノ磯ニ、棲ム千鳥、君ガ御代ヲバ、八千代トゾ鳴ク」

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最終更新:2024年06月13日 16:59