うら(心)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 (「裏」「浦」と同語源。上代では、「うらもなし」という慣用的表現の中に見られるにすぎず、多くは語素としての用法である) 心。心のうち。
語素 形容詞およびその語幹、動詞の上に付いて「心の中で」「心から」「心の底からしみじみと」の意を添える。「うらあう」「うらがなし」「うらぐわし」「うらごい」「うらさびし」「うらどい」「うらなき」「うらまつ」「うらもう」「うらやす」など。
[語誌](1)上代において同じく「心」の意をもつ「うら」と「した」のちがいは、「うら」が、意識して隠すつもりはなくても表面にはあらわれず隠れている心であるのに対し、「した」は、表面にあらわすまいとしてこらえ隠している心であるという。
(2)語素としての「うら」の結合範囲は、中古以後ほとんど形容詞に限られ、「うら」の意味も弱まって「おのずと心のうちにそのような感情がわいてくる」意となる。その結果「ものがなしい」などの「もの」と類似した意味にとれるが、「もの」は情意、状態の対象を漠然と示して外的であるのに対し、「うら」は内面的である。
(3)「古今集」をはじめ、和歌では、「うら」が「心」の意と「浦」や「裏」の意味を掛けて使われることがあるが、すでに「古事記‐上・歌謡」の「わが心浦渚(うらす)の鳥ぞ」や「万葉‐三三三六」の「いさなとり海の浜辺に浦も無くふしたる人は」などでも、「うら」に「心」と「浦」が掛けられている。
広辞苑 名詞 (表に見えないものの意)こころおもい 古事記下「―恋ほしけむ」
大言海 名詞 (ウラ)ノ義、外面ニアラハレズ、至リ深キ所、 下心 (シタゴコロ)、心裏、心中ノ意〕
ココロシタオモヒ 底心 (ソコシン)ニ然思フヲ云フ、(セツ)ナル語ナリ。此語、多ク接頭語ノ如ク用ヰル。
萬葉集、廿 十四 「秋風ニ、今カ今カト、紐解キテ、宇良待チ居ルニ、月傾キヌ」
後撰集、十、戀、二「ワタツミト、賴メシコトモ、アセヌレバ、我レゾ我ガ身ノ、うらハ恨ムル」
同卷「流レテハ、行ク方モナシ、淚川、我ガ身ノうら(浦ニカク)ヤ、限リナルラム」
「うらサビシ」うらガナシ」うらメヅラシ」うらハヅカシ」

検索用附箋:名詞名称
検索用附箋:語素

附箋:名称 名詞 語素

最終更新:2024年05月08日 19:05