えび(鰕・蝦)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 [一] 甲殻類十脚(じっきゃく)目に属する長尾類の総称。体は甲羅(こうら)でおおわれ、頭胸部と腹部とに分かれる。頭胸部は円筒状、腹部は七節に区切られ、末端の節は扇状の尾となる。頭胸部には一対の柄のある眼、二対の触角、五対の口器、五対の胸脚がある。二対の触角のうち第二触角は非常に長い。腹部は筋肉が発達し、五対の遊泳脚がある。幼生は変態して成長する。海水、または淡水にすみ、珪藻(けいそう)やプランクトンなどを食べる。食用として重要な水産資源。イセエビ、クルマエビ、シバエビ、アカエビ、モエビ、サクラエビ、ヌマエビなどの種類がある。うみのおい。うみのおきな。かいろう。 〔本草和名(918頃)〕 海老・蝦・鰕
[二] (形、名の類似しているところから)
① =えびじょう(海老鎖)
※西源院本太平記(14C後)二「堀は広くて水深し、門は高て、鎖子(ヱヒ)差たり」
② ひもやこよりなどを、えび鎖(じょう)の形に結ぶこと。えび結び。 ※浄瑠璃・鶊山姫捨松(1740)三「筆を浸(しめ)してさらさらと、手早に書て封じめに、氏神しるす心の錠、ゑびに結んで持って立つ」
③ =えびぜめ(海老責) ※歌舞伎・船打込橋間白浪(鋳掛松)(1866)二幕「翌(あす)が日おれが喰(くれ)え込み、海老責(ヱビ)にかかってたたかれても」
④ ((一)が腰を曲げた形に似ているところから) 男子の結うまげのこと。 〔物類称呼(1775)〕
⑤ 紋所の名。えびのまる、ちがいえび、むかいえびなど数種ある。
[語誌](1)長いひげがあり、体を折り曲げる外形から、古来、老人にたとえられた。
(2)食用として珍重され、「徒然草‐二一六」には、酒の肴として、「うちあはび」等と共に供された例が見える。また、老人にたとえられたところから長寿の象徴としてめでたいものとされ、江戸時代の初めごろには正月の鏡餠や蓬莱盤など賀祝の飾りとしても用いられるようになった。
広辞苑 名詞 ①エビ目(十脚類)の甲殻類の一群(長尾類)の総称。約3000種が知られている。体は頭胸部と7節に分かれた腹部をもつ。腹部は長く伸び筋肉に富み、腹肢は一般によく発達して、クルマエビ・オトヒメエビ・コエビでは遊泳肢となる。一般に頭胸部の5対の歩脚のうちの1〜3対が鋏脚となる。クルマエビ類とサクラエビ類を除き、雌は産んだ卵を腹肢につけて腹部の下に抱き、孵化まで保護する。海・湖沼・川などの水域にすむ。食用として重要なものが多く、また長寿の象徴としてめでたい動物とされる。エビ目全体の総称として呼ぶ場合はヤドカリ類とカニ類も含む。海の翁。海の老。 宇津保物語俊蔭「小さき子の深き雪を分けて、足手は―のやうにて、走り来るを見るに」。
〈新撰字鏡9〉
海老・蝦
海老錠 (えびじょう)の略。 宗安小歌集「門に(かんのき)―を(おろ)いた」
海老責 (えびぜめ)の略。
大言海 名詞 〔腰、曲ルガ故ニ、老人ニ比シテ、 海老 (カイラウ)トモ書キ、(()(コロ)ヲ野老ト記スト、同趣)ソレニ就キテ、うみのおきなト()ミテ、異名トス〕
(一){海產ノ動物。身細長クシテ、全身、殼ニオホハレ、背ニ數斷節アリテ、腰曲ル、鼻尖リテ、二鬚長ク立チ、五對ノ足アリ、能ク躍ル、大抵、生ナルハ薄黑ク、煮レバ紅ナリ。海ナルヲ 海蝦 (ウミエビ)ト云フ、海蝦ニ、車えび、芝えびナド、種類多シ、又、同種ニテ、淡水ニ產ズルヲ、 川蝦 (カハエビ)ト云フ、此類ニ、手長えび、杖突えびナドアリ。
鰕・蝦
(二){單ニ、伊勢えびヲ云フ。 本草和名、下 廿五 「鰕、衣比」
倭名抄、十九「鰕、衣比、俗用海老二字
主計式「海老」
(三)伊勢ニテ、髮ノ(ワゲ)ニ稱、形、蝦ノ、腰ヲ折レルニ似タレバ云フ。マゲブシ

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最終更新:2024年05月08日 19:16