おく(起)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 横になっていたものが立つ。傾いていたものがもとの状態にもどる。 ※百法顕幽抄平安中期点(900頃)「地に因りて倒れぬるいは、還りて地に因りて起(オクル)ことを須ゐる」
※平家(13C前)八「左右の袖をひろげておきんおきんとすれども、なじかはおきらるべき」
② 眠っていたものがめざめる。また、めざめて立つ。寝床を離れる。 ※万葉(8C後)一二・二九一四「うつくしと思ふ我妹(わぎも)を夢に見て起(おき)て探るに無きがさぶしさ」
③ 眠らないでいる。また、横にならないでいる。 ※万葉(8C後)一九・四一七一「常人も起(おき)つつ聞くそほととぎすこの暁(あかとき)に来鳴く初声」
④ 水が来て舟が浮かび出る。 ※鹿苑院殿厳島詣記(1389)「二十日〈略〉しほのひてゐたる船の、しほ満ちて浮かぶをば、おくるといふにこそ」
⑤ 穏やかな状態のところに、それを騒がせるような物事が生じる。 ※人さまざま(1921)〈正宗白鳥〉「良三なぞに話したって甲斐がないと思ひながら、ふと起きて来た体内の疼(いた)みを口に洩らした」
⑥ 火気が盛んになる。また、炭に火が移る。 「火がおきる」
※ニッポン日記(1951)〈井本威夫訳〉一九四五年一二月二五日「皺だらけの婆さん女中が、真っ赤におきた木炭を火鉢に入れにきた」
⑦ あるものごとに由来する。端を発する。 ※茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉紋「紋所といふもの、もとは車の紋から起(オ)きたといふ説があるが」
広辞苑 自動詞 ①(眠らずに)目を覚ましている。(眠りから)目を覚ます。 万葉集10「―・き居つつ君に恋ふるにいねかてなくに」。
万葉集16「―・きよ―・きよわが 一夜夫 (ひとよづま)人に知らゆな」。
「遅くまで―・きて待つ」
起く
②横たわっていたものが身をおこす。 伊勢物語「臥して思ひ―・きて思ひ思ひわびてよめる」。
「ころんでも、ただは―・きない」
③覚めて立つ。寝床から出る。 源氏物語椎本「まだ朝霧ふかきあしたにいそぎ―・きて奉りたまふ」。
「毎朝6時に―・きる」
④(異常な事態などが)もちあがる。生ずる。 「事件が―・きる」「奇跡が―・きる」
⑤(「熾きる」とも書く)炭火の勢いが強くなる。おこる。 「火が―・きる」
⑥舟などが浮かび出る。 厳島詣記「潮の干てゐたる船のしほ満ちて浮ぶをば―・くるといふにこそ」
⑦(香川県で)満腹になる。 「腹が―・きた」
大言海 自動詞 ()くノ轉カ、(オコ)るノ變カ〕
(一)眠リタルヨリ、()メテ立ツ。
神武紀 醒起 (オキヌ)
後撰集、九、戀、一「夕暮ハ、待ツニモカカル、白露ノ、おくる朝ヤ、消エハハツラム」
(二)倒レタルヨリ、立ツ。オコルアガル 顯宗卽位前紀 川沿 (カハゾヒ)(ヤナギ)水行ケバ、靡キ 於己 (オキ)立チ」
動詞活用表
未然形 おき ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 おき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 おく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 おくる も、かも、こと、とき
已然形 おくれ ども
命令形 おきよ

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附箋:上二段 自動詞

最終更新:2024年02月14日 20:39