こ(小)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 接頭辞 名詞や用言の上に付いて、小さい、わずかな、などの意味を加える。
① 名詞の上に付いて、その物が、小さい、細かい、などの意を表わす。親愛の情の意を含むこともある。「小島」「小山」「小屋」「小石」など。
※古事記(712)下・歌謡「宮人の 脚結(あゆひ)の古(コ)鈴 落ちにきと 宮人とよむ 里人もゆめ」
② 名詞の上に付いて、その量がわずかであることを示す。いささかの。「小降り」「小銭」「小人数」など。 ※万葉(8C後)一一・二四五六「ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ」
③ 人、あるいは生き物を表わす名詞の上に付いて、年若なものであることを表わす。若い。後輩の。幼い。「小冠者」「小犬」「小童」など。 ※源氏(1001‐14頃)乙女「小侍従やさぶらふ」
④ 数量を表わす名詞、数詞の上に付いて、その数量にはわずかに及ばないが、ほぼそれに近い意を表わす。およそ。ほぼ。「小半時」「小一時間」「小一里」など。 ※北野天満宮目代日記‐目代昭世引付・天正一三年(1585)正月「十四日の小四つ時まで待候へ共」
⑤ 名詞の上に付いて、下の述語の表わす動作・状態の量や程度の小さいことを表現する。人体の一部を示す名詞に付くことが多い。すこし。ちょっと。「小首をかしげる」「小当たりに当たる」など。 ※宇治拾遺(1221頃)一五「袖うちおろして、こつばきはきてゐたりけり」
※四河入海(17C前)二〇「くいくいと小腹が立て」
⑥ 動詞・形容詞・形容動詞・副詞などの上に付いて、その動作・状態の量や程度が小さいことを表わす。すこし。なんとなく。「小ざっぱり」「小高い」など。 ※古事記(712)下・歌謡「大和の この高市(たけち)に 古(コ)高る 市の高処(つかさ)」
⑦ 名詞や用言などの上に付いて、軽んじたり、やや馬鹿にしたような意味を表わす。なまはんかな。「小せがれ」「小憎らしい」など。 ※漢書列伝竺桃抄(1458‐60)酈陸朱劉叔孫第一三「堅儒は小餓鬼めがと云やうな心ぞ」
⑧ 名詞や用言の上に付いて、ほとんど意味を加えることなく、語調を整えたり、強めたりするために添える。「こ甘い」「小しゃく」など。
広辞苑 接頭辞 体言・形容詞などの上に付く。
①物の形・数量の小さい意を表す。
万葉集4「佐保河の―石()み渡り」。
万葉集11「―菅の笠をきずて来にけり」。
源氏物語松風「―鷹」。
源氏物語若紫「―柴」。
「―島」「―船」「―人数」
②事物の程度の少ない意を表す。 万葉集11「―雨()りしきしくしく思ほゆ」。
「―太り」
③年が若い。幼い。 枕草子300「陰陽師のもとなる―わらはべこそ」。
「―犬」
④数量が足りないが、ややそれに近い意を表す。 浮世床初「半年か―半年ゐる内には」。
「―一里」「―一時間」
⑤半分の意を表す。 「―半斤」「 小半 (こなから)
⑥いうにいわれない、何となく、の意を表す。また、その状態を憎む意を表す。 浄瑠璃、心中刃は氷の朔日「定めしゆふべ平様と手を引き合うてでござんせう。―にくいことや」。
「―ぎれい」「―ざっぱり」「―ぎたない」「―うるさい」
⑦軽んじあなどる意を表す。 日葡辞書「コセガレ」。
歌舞伎、 三十石艠始 (さんじっこくよふねのはじまり)「―ざかしい青蠅めら」。
浮世草子、御前義経記「―(わっぱ)なみの草履をつかみ」。
「―利口」「―役人」
⑧(体の部分を表す語に付いて)その動作を軽く行う意を表す。 「―耳にはさむ」「―腰を屈める」
⑨語調を整える。 「夕焼け―焼け」「おお寒―寒」
大言海 接頭辞 (一){チヒサキ。コマカキ。 安康卽位前紀「宮人ノ、 足結 (アユヒ) 古輸孺 (コスズ)、(小鈴)落チニキト」
皇極紀、二年十月「古佐屢」(小猿)
神樂歌、酒殿「天ノ古須氣(小菅)ヲ、割キハラヒ」
「小山」小人」小橋」小形」
(二){イササカ。ワヅカ。 古事記、下(雄略) 三十八 長歌「 古陀加流 (コダカル)(小高有)、市ノツカサ」
散木集、九、述懷百首「アハレテフ、身ノコトグサハ、霜枯レテ、こモロキモノハ、淚ナリケリ」
「小風」 小雨 (コサメ) 小暗 (コグラ)シ」
(三)スコシ。 「小金ヲ()メテ」巾着ニ小錢ヲ入レテ」小(ヌル)イ湯」
(四)足ラヌ。及バヌ。 「小一里」小 一時閒 (イチジカン) 小一年 (コイチネン)」小百圓」
(五)智ノ足ラヌヲ、云ヒ(オト)シムル意ヲ含ム。 小賢 (コザカ)シ」小利口」小二歲」

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最終更新:2023年05月17日 14:28