辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 名詞 | ① カキノキ科の落葉高木。また、その果実。日本では有史以前から栽培されていたとみられる。幹は高さ五~六メートルになり黒みを帯び、直立し上部で枝分かれする。葉は互生し長さ約一〇センチメートルの楕円形で短柄がある。秋には紅葉する。初夏、淡黄色のつぼ形の花を開く。花は雌花と雄花が別で、木によってどちらか一方を多くつける。四枚の萼(がく)があり、のち果実のへたになる。果実は長さ三~一〇センチメートルで肉質。品種により実の形は異なる。甘柿と渋柿の別があり、甘柿は富有、御所、次郎、渋柿は西条、四溝、会津身しらずなど多数の品種がある。甘柿は果肉が堅いうちから甘くて、そのまま食用となる。渋柿は脱渋するか干し柿にする。渋の強い品種やシナノガキからは柿渋をとる。また、落ちた実を発酵させて柿酢をつくる。種子は扁平で、ふつう長楕円形。柿の心材は淡黒色または黒色で、堅く緻密(ちみつ)なので、家具や器具の用材となる。特に黒色のものは黒柿と呼ばれ、黒檀(こくたん)の代用として珍重される。渋は渋紙、雨ガッパ、塗料などの材料。かきのき。《季・秋》 |
※正倉院文書‐神護景雲四年(770)一一月二日・奉写一切経料銭用帳「壱伯文柿一升直」 ※本草和名(918頃)「柿〈略〉一名錦葉 一名蜜丸 一名朱実 和名加岐」 ※俳諧・冬の日(1685)「篠ふかく梢は柿の蔕(へた)さびし〈野水〉」 |
柿 |
② 「かきいろ(柿色)」の略。 |
※今鏡(1170)六「次にかきの水干の袖のはしをさし出だされければ」 ※鳴雪俳句集(1926)〈内藤鳴雪〉「荒事の柿の素袍も秋の風」 |
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③ 紋所の名。柿の花を図案化したもの。柿花紋。 | ||||
④ 柿色の布子(ぬのこ)。柿衣(かきそ)。また、江戸では柿衣を仕着(しきせ)としたところから、酒屋の奉公人の異名。 | ※雑俳・柳多留‐七一(1819)「浅黄より柿がいきだと裾っ継」 | |||
⑤ 「こけら(杮)」を誤っていう。「柿(かき・シ)」と「杮(こけら・ハイ)」と、漢字がまぎらわしいところからあやまったもの。「こけらぶき(杮葺)」を「かきぶき」というたぐい。 | ||||
⑥ 陶器の茶入れの一種。柿の実のように平たく丸い形で、首が短く、被蓋(かぶせぶた)になっているもの。 | ||||
[語誌]用途の多い木のわりには卑俗な木または実と考えられていたからか、和歌に詠まれることは少ない。「万葉集」に例がなく、八代集ほか平安時代の私家集では物名歌の題に見えるだけである。鎌倉時代では、柿の紅葉を詠んだ歌が見えるが、数は少ない。庶民生活を歌う江戸時代の俳諧になって、多く詠まれるようになる。 | ||||
広辞苑 | 名詞 | ①カキノキ科の落葉高木。高さ約10メートルに達する。葉は革質。6月頃黄色4弁の雌花と雄花をつける。雌雄同株。果実は黄赤色、大形の液果で、甘柿と渋柿があり、生食用、また乾柿とする。材は器具用・建築用。また若い果実から渋をとる。東アジア温帯固有の果樹で、長江流域に野生、日本に輸入されて古くから栽培。〈[季]秋〉。 |
正倉院文書「壱伯文、―一升の |
柿・柹 |
②柿色の略。 | ||||
③ |
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大言海 | 名詞 |
〔 (一){樹ノ名。葉、大キク圓クシテ、光ル、夏ノ初、淡黃ナル花ヲ開ク、大キサ三分許、其尖、四ツニ裂ク、實、秋ノ末ニ熟ス、色、黃赤ニシテ、黑キ核、多シ、形、圓キト、稍 又、實、熟スレドモ澁キヲ、澁柿ト云フ。甘柿、澁柿ノ二種ニ、尙、 |
天治字鏡、七 六 「柿、加支」 | 柿・柹 |
(二)かきいろノ略。其條ヲ見ヨ。 |
検索用附箋:名詞植物色名