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日本国語大辞典 接尾辞 様子の意を表わす体言「け」が、上接語と密着して濁音化したもの。体言、動詞の連用形、形容詞の語幹などに付いて、様子、けはい、などの意を表わす。
(イ) 形容動詞の語幹をつくる。形容詞、または形容詞型活用の助動詞の語幹に付く例がもっとも多く、動詞、または動詞型活用の助動詞の連用形、その他にも付く。外からみて、どうもそれらしい様子である、…の様子、いかにも…という印象をうける。「心細げ」「うつくしげ」「はずかしげ」「おわしげ」など。
※古今(905‐914)恋四・六八〇「君といへば見まれ見ずまれ富士の嶺(ね)のめづらしげなく燃ゆるわが恋〈藤原忠行〉」
※仮名草子・身の鏡(1659)上「論語とやらんに、廐焚、子退朝日、傷人乎、不馬と有げに候」
(ロ) 形容詞の語幹と同じように、接尾語「さ」を伴って名詞化することがある。この場合、「げ」の上接語は、形容詞、形容動詞の語幹など。そのような様子の意。「悲しげさ」「清げさ」など。 ※源氏(1001‐14頃)胡蝶「此の姫君の御さまの匂ひやかげさを思し出でられて」
(ハ) 名詞をつくる。多くは名詞、またはこれに準ずるものとして動詞の連用形に付き、形容詞の語幹にも付く。主語として、下に「なし」を述語として伴って句をなすことが多い。助詞「も」が入ることが多く、時に、否定的な意味を含む形容詞が述語になることもある。「そのような様子がない」の意。「大人げもない」「かわいげがとぼしい」など。 ※竹取(9C末‐10C初)「船に乗ては楫取(かぢとり)の申す事をこそ高き山と頼め、などかく頼もしげなく申すぞ」
※枕(10C終)八七「さて雪の山、まことの越(こし)のにやあらんと見えて、消えげもなし」
[語誌](1)(イ)(ロ)は心情や価値判断などの心理関係の意味を持つ語に接続することが多く、色彩語などに接続することは少ない。傍らから思いやるさまで、自己の心情や評価を直截に表現することを避けて表現を和らげる効果を出したり、「~のように見えるが本質はそうではないのでは…」という意味合いを伴ったりすることもある。
(2)「清げ」は「清ら」に対して一段下の美を表わすというが、これは後者の用法と関係するものであろう。また、(イ)の挙例「身の鏡」のように断定を遠慮する場合もある。現代語では「~そうだ」「らしい」に代わられるなどして、あまり使われなくなっている。
広辞苑 接尾辞 (ケ(気)の濁音化したもの)体言、形容詞の語幹、動詞の連用形などに付いて、外から見て推測されるけはい・様子・感じ・傾向などの意を表す。…の様子。…そう。いかにも…の感じ。
㋐(体言に付く)
源氏物語夕顔「いとあはれ―なる人と見給ふに」。
天草本平家物語「いかにも大様―でそこへ出でられたれば」。
「得意―な顔」「おとな―がない」
㋑(形容詞の語幹に付く) 源氏物語若紫「いたうなげかし―にもいひなさず」。
天草本平家物語「清盛も面白―に思はれて」。
「かわい―がない」
㋒(動詞の連用形に付く) 源氏物語夕顔「何の心ばせあり―もなく」。「意味あり―に笑う」
㋓(動詞型助動詞の連用形に付く) 源氏物語若紫「しろしめしたり―なるを」
㋔(形容詞型助動詞の語幹に付く) 源氏物語浮舟「ことごとしきほどにはあるまじ―なりしを」。
「何か話した―な様子」
㋕(活用語の連体形に付く) 天草本平家物語「この人もふた心がある―なとあつて」
大言海 接尾辞 ()ノ連濁ナリ〕
他語ノ下ニ屬キテ、 風情 (ケハヒ) 氣色 (ケシキ)、ヲ云フ接尾語。
「人げ」心アリげ」物思ヒげ」()げ」惜シげ」嬉シげ」

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最終更新:2024年10月19日 21:20