かた(肩)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 腕とからだとが続く関節の上部。 ※古事記(712)上「天の香山の真男鹿の肩(かた)を内抜(うつぬ)きに抜きて」
※伊勢物語(10C前)二三「くらべこし振分髪もかたすぎぬ君ならずして誰かあぐべき」
② 獣の前脚、鳥の翼の、からだにつながっている、関節の上の部分。 ※古事談(1212‐15頃)四「鷹〈略〉肩さきの程探り廻はりて」
③ 衣服の、肩に当たる部分。 ※万葉(8C後)七・一二六五「今年ゆく新島守が麻衣肩(かた)のまよひは誰かとり見む」
※宇治拾遺(1221頃)一「おなじ色の狩衣のかたすこしおちたるに」
④ 器物や山、道などで、人体の①に相当する部分。
(イ) 山頂から少し下がった所で、①のように平らになった所。
※東京の三十年(1917)〈田山花袋〉KとT「あ、あれが、N岳の肩だな」
(ロ) 鉱山で、鉱脈または鉱層の傾斜に従い、上部にある部分。
(ハ) 魚網の部分の名称。浮標を付ける部分。
(ニ) 律詩で、第三と第四の句。対句をなす。第五と第六の句を腰の対という。 ※三体詩素隠抄(1622)三「中間の四句に抑揚の機あり。肩の一対は、抑腰の一対は揚なり」
⑤ 和船で、帆柱の立つ中央部(腰当船梁(こしあてふなばり)の位置)の横幅をいう。船体のほぼ最大幅にあたり、船体寸法の基準となる。また、中央部ばかりではなく各船梁位置の幅にいうこともある。 〔和漢船用集(1766)〕
⑥ 物の上部の右側。 ※教部省布達第一号‐明治九年(1876)一月一二日「但所属相定候上は自今教導筋に付差出候願伺届には必職名之肩へ神道第何部の字を記載可致事」
⑦ 物事のはじめ。最初。当初。→肩から
⑧ 物をかつぐ力。また、物を投げる力。 「肩を貸す」「肩がいい」
⑨ かついでいる荷物。また、その負担。責任。 ※雑俳・火燵びらき(1738)「老て駕かくは其身の過去の肩(カタ)」
⑩ 助力。ひいき。味方。→肩を持つ ※寛永刊本蒙求抄(1529頃)八「武帝は賈皇后を廃せうとせられたれども、荀勗等がかたをして廃せられぬやうにしたぞ」
⑪ (倶生神(ぐしょうじん)が宿っていて運命を支配するという華厳経、十王経などの俗信による。この神には、男女二神があり、男神を「同名」といって、人の左肩にいて善業を記録し、女神を「同生」といって、人の右肩にいて悪業を記録するという。俗には閻魔(えんま)大王の側にいて罪人を訊問し、その罪状を記録する神とする) 運。運命。→肩が良い①肩が悪い①
⑫ 囲碁で、一個の石に対する盤の中央寄りの斜めの位置。
⑬ 「かたみっか(肩三日)」の略。 ※洒落本・外国通唱(1804)「かたの客 大せつに思ふも三日福寿草」
⑭ 「かたぎぬ(肩衣)」の略。 ※歌舞伎・御摂勧進帳(1773)四立「鹿島の事触れの形(なり)にて、白張の肩ばかり掛けて」
接尾辞 駕籠などをかつぐ人数を数えるのに用いる。多く連濁で「がた」となる。 ※浮世草子・好色二代男(1684)二「ありし姿は忽に本大臣となって、畳よりすぐに三枚肩に乗うつれば」
広辞苑 名詞 ➊人・鳥獣の胴体の、腕・前肢・翼が接する部分の上部。 万葉集13「ゆふだすき―に取り懸け」。
「―がこる」「―に力が入る」
➋位置が人の肩にあたる所。
①衣服の肩にあたる部分。
万葉集7「麻衣―のまよひはたれか取り見む」
②山頂の少し下の平らな所。 「山の―」
③物の、脇の上部。 「―書」
④和船の最も幅広いところの横幅。和船の大きさを示す場合、肩幅何尺何寸という。
➌肩を使う動作、またその力。
①かつぐ力。
「―を貸す」
②転じて、負担。責任。 「―が下りる」
③物を投げる力。 「―がよい」
➍(肩に 倶生神 (ぐしょうじん)が宿っていて人の運命を支配するという俗説から)運。(別の説もある。浮世草子、籠耳「運の好い悪いといふべきを肩が好い悪いとはいふべき詞にあらず、肩に棒おく商人・ 駕籠舁 (かごかき)・乗物舁より起りたる詞なり」)
大言海 名詞 (カド)ト通ズルカ〕
(一){腕ノ、體ニ付ク 關節 (ツガヒ)ノ、上ノ處。鳥ニハ、翼ノ上、獸、蟲ニハ、前脚ノ上ナリ。
倭名抄、三「肩、加太、髆也」
(二)物ノ右ノ(ウヘ)右上 「肩書」肩ニ記ス」肩ニ貼ル」

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最終更新:2024年03月20日 18:44