さ(様・状)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 接尾辞 [一] 形容詞・形容動詞の語幹、また、これに準ずる助動詞に付いて名詞をつくる。
① その性質、状態の程度。その様子。「親切さ」「高さ」「短さ」「苦しさ」「静けさ」「静かさ」「きのどくさ」「かなしげさ」「男らしさ」「見たさ」「けしからずさ」など。
※万葉(8C後)六・九八五「天にます月読壮子(をとこ)幣(まひ)はせむ今夜(こよひ)の長者(ながサ)五百夜(いほよ)継ぎこそ」
② 連体語を受けて文末に置かれ、感動の意を表わす。形容詞、形容動詞を述語とする文の主語が、この場合は連体語になる。 ※万葉(8C後)七・一〇七六「ももしきの大宮人のまかり出て遊ぶ今夜の月のさやけ左(サ)」
※徒然草(1331頃)二三四「人はいまだ聞き及ばぬ事を、我が知りたるままに『さてもその人の事の浅ましさ』などばかり言ひやりたれば」
[二] 移動に関する動詞の終止形に付いて、名詞をつくる。移動の行なわれている時の意。…している途中。…している折。…際。…するとき。「ゆくさ」「くさ」「帰るさ」「入るさ」など。「さだ」「しだ」「しな」などの名詞と関係があろう。→ゆくさ・くさ・かえるさ・いるさ。
[三] 方向に関する名詞に付いて、その方向にある状態をいう。「さま」また助詞の「さ」に関係があろう。→たたさ・よこさ・さかさ。
[四] 人の名や人物、また、人物を表わす名詞に付いて、敬意を表わす。さま。さん。 ※仮名草子・東海道名所記(1659‐61頃)三「いかになよ旅の殿さ、お草臥(くたばり)であるべいに」
広辞苑 接尾辞 ①形容詞の語幹、形容詞型助動詞の一部および形状性名詞に付いて、その程度・状態を表す名詞をつくる。 万葉集6「今宵の長― 五百夜 (いおよ)継ぎこそ」。
拾遺和歌集夏「ほととぎす今一声のきかまほし―に」。
源氏物語桐壺「あさましううつくしげ―添ひ給へり」。
平家物語8「 立居 (たちい)の振舞の無骨―」。
「大き―」「重―」「嬉し―」「憎―」「みごと―」「会いた―」
②「…の…さ」の形で文を結び、全体を体言化して感動の意を表す。…ことよ。 万葉集7「大君の三笠の山の帯にせる細谷川の音のさやけ―」
③動詞の終止形に付いて「…する時」の意を示す。 万葉集3「 白菅 (しらすげ)の真野の 榛原 (はりはら)()く―()―君こそ見らめ真野の榛原」。
天草本平家物語「月の入る―の山の端をそなたかと伏し拝うで」
④方向を表す。さま。 万葉集18「(たた)―にもかにも横―も奴とそ吾はありける」
⑤(人の名などに付いて敬意を表す)さま。さん。 東海道名所記「いかになよ旅の殿―、お 草臥 (くたばり)であるべいに」
大言海 接尾辞 (サマ)ト、同義〕
(一)名詞、又ハ、形容詞ノ語根ニ添ヒテ、名詞トシ、其 狀態 (サマ) 程度 (ホド)ヲ示ス接尾語。
源、四十八、寄生 五十五 「サビシキ處ノアハレさハ、狀、異ナリケリ」
經衡集「アハレさハ、マサリヤスラム、寢ザメツツ、聞ケバ身ニシム、秋ノ葉風ヲ」
承久軍物語、五「佛力ノ不思議さ、信ズベシ」
盛衰記、十八、文覺高雄勸進事「主ノ烏帽子打落シ、突倒シタル遺恨さニ」
淨瑠璃物語、まうし子「汝ガ歎ク所、餘リニ 不便 (フビ?ン)さニ」
同、花ぞろへ「島ノ內ノ結構さニ、百種ノ花ヲゾ植ヱラレケル」
伊勢物語、八十七段「其瀧、物ヨリ異ナリ、高さ二十丈、廣さ五丈バカリ」
金葉集、四、冬「初雪ハ、槇ノ葉白ク、降リニケリ、コヤ小野山ノ、冬ノサビシさ」(ナラム)
「聲さ」色さ」光リさ」香さ」赤さ」重さ」遠さ」嬉シさ」悲シさ」
樣・狀
(二)和歌ナルハ、同ジ用法ニテ、末ヲ結ビ、詠歎ノ意ヲ云フ。 萬葉集、三 廿六 小浪 (サザレナミ) 磯越道 (イソコセヂ)ナル、 能登 (ノト) 湍河 (セガハ)、音ノ 淸左 (サヤケサ)(タギ)ツ瀨每ニ」(四五ノ句ヲ、上下ニス、さやけきかなノ意)
同、十五 三十一 塵泥 (チリヒヂ)ノ、數ニモアラヌ、我レ故ニ、思ヒワブラム、妹ガ 可憐 (カナ)シ佐」(かなしきかも)
後撰集、三、春、下「風ヲダニ、待チテゾ、花ノ散リナマシ、心ヅカラニ、ウツロフガ憂さ」(うきかな)
同、十二、戀、四「夜ノ短クテ、明クル(ワビ)シさ」(わびしきかな)

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最終更新:2023年05月27日 23:31