かべ(壁)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 建物の周囲、または内部を区切る仕切り。草や板などでも作るが、多くは土を用いて作る。 〔十巻本和名抄(934頃)〕
※源氏(1001‐14頃)帚木「火ほのかにかべにそむけ、なえたる衣どもの、厚肥えたる、大いなる籠にうちかけて」
② 豆腐をいう女房詞。おかべ 〔海人藻芥(1420)〕
③ (壁を塗(ぬ)るの「ぬる」を「寝(ぬ)る」にかけて) 夢をいう。主に和歌に用いられる。 ※後撰(951‐953頃)恋一・五〇九「まどろまぬかべにも人を見つるかなまさしからなん春の夜の夢〈駿河〉」
④ 遊郭で、張見世の末席の異称。①を背にしてすわったところからいう。新造女郎などが席を占めた。 ※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻一二下「壁に耳あって引け四つ聞きつける」
⑤ 登山で直立した岩壁をいう。
⑥ (比喩的に) 障害。じゃま。困難。 ※招かれて見た中共(1956)〈橘善守〉中共は天国か、地獄か?「それにもかかわらず強い権力の壁が必ずある」
⑦ 軽蔑されるべき者。愚か者。→壁と見る。 ※洒落本・一目土堤(1788)「『野暮(やぼ)を壁とは偖いかに』『女郎もかわず夜あるきせず。内に居るを野暮といふ。家のほとりをぶら付くを則家辺と申也』」
⑧ 囲碁で、外側に勢力を張っている連続した石。
広辞苑 名詞 ①家の四方を囲い、または室と室の隔てとするもの。ことに 塗壁 (ぬりかべ)、すなわち 下地 (したじ)をわたし、 木舞 (こまい)をっかい、土を塗って作ったものをいう。 源氏物語帚木「火ほのかに―に(そむ)け」
②(壁を「塗る」と「()る」とをかけて)夢。 後撰和歌集哀傷「寝ぬ夢に昔の―を見てしよりうつつにものぞ悲しかりける」
③(女房詞)豆腐。おかべ
④登山で、直立した岩壁。 「北側の―に取りつく」
障壁 (しょうへき)。障害物。 「研究上の―を破る」
⑥吉原の女郎屋の 張見世 (はりみせ)の末席(壁ぎわの席)。新造女郎などが座っていた。
⑦近世後期、江戸で野暮、不粋をいった語。 洒落本、一目土堤「野暮を―とはさていかに」
大言海 名詞 (カキ)()ノ意カト云フ、 部曲 (カキベ)ト云フ語アリ、 駕籠 (カゴ)モ、 舁籠 (カキコ)ナルベシ〕
家ノ四面、又ハ、室內ノ隔テナドニ、土ヲ塗リテ作ルモノ。柱ト柱トノ閒ニ、かべした()ヲ亙シ、こま()ヲカキ、泥土ニテ塗リ上ゲテ、上ニ漆喰ナド塗ル。又、板、紙、ニテ張ルモアリ、石ニテ積ミ造ルモアリ、今ハ、こんくりいとナドモアリ。
倭名抄、十 十五 「壁、室之屛蔽也、加閉」

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最終更新:2024年04月14日 19:05