かめ(亀)

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日本国語大辞典 名詞 ① 爬虫(はちゅう)綱カメ目に属する動物の総称。ただし、普通にはカメ目からスッポン科を除いたものをいう。他の脊椎動物とは体制が著しく異なって、背面および腹面に甲を有し、両甲は側面でつながっており、頭、四肢(しし)、尾のみを甲の外に出し、多くはそれらを内におさめることができる。甲は表皮が角質で、その内側が骨質で堅いが、スッポン、オサガメなどのように柔らかいものもある。顎(あご)は嘴状(くちばしじょう)になり、歯がない。卵生で、水中に生活するものが多いが、それらでも必ず産卵は陸上で行なう。また、リクガメ等は陸棲(りくせい)である。その種類は二三〇以上にのぼるが、多くは熱帯、亜熱帯に産する。日本で見られるものは、淡水産でイシガメ、クサガメ、それにスッポン、海産のものではアオウミガメ、アカウミガメ、タイマイ、オサガメ等である。沖縄にはヤマガメ、セマルハコガメを産する。万年のよわいを保つといわれて、鶴とともにめでたい動物としてとうとばれる。がめ。水亀(すいき)。 ※古事記(712)中「亀(かめ)の甲(せ)に乗りて釣(つり)為つつ打ち羽挙(はぶ)き来る人」
② 亀卜(きぼく)に用いる亀の甲。 ※万葉(8C後)一六・三八一一「卜部すゑ 亀(かめ)もな焼きそ 恋ひしくに」
③ ①を模様化したもの。また、①を図案化した紋所の名。親子亀、亀下り、亀の丸、三つ追い亀、みの亀の丸、二つ追い亀の丸、子持ち亀の丸、蓬莱亀(ほうらいがめ)、珖琳亀(こうりんがめ)、寿(ことぶき)の字の亀、その他種類が多い。 ※たまきはる(1219)「からあやの三こそで、もんみなかめ」
④ 大酒を飲む人をいう。亀はよく酒を飲むとされることからたとえていう。大酒飲み。
⑤ 足のおそいこと。また、その人。亀の歩くのがおそいのにたとえていう。
⑥ 首をすくめ、手足を縮めたさま、かっこう。亀が首や四肢(しし)を甲の中に引っ込めたさまにたとえていう。 ※雑俳・柳多留‐三七(1807)「亀といふ身でしゃがんでる寒ひ事」
⑦ 陰茎をいう俗語。その形が亀の首に似ているところからいう。 ※洒落本・三教色(1783)後座「『亀のつらが出た』『下卑をいわっしゃんな』」
[語誌](1)亀を題材にした説話には、「書紀‐雄略二二年七月」などに見える浦島伝説や「今昔‐一九」などの報恩譚があり、これら二種の説話が後に結びついて御伽草子「浦島太郎」が成立する。
(2)今日一般にはカメとスッポンを区別しているが、スッポンをも「かめ」という地方も少なくない。また、スッポンを「がめ」と濁音にしてカメと区別する地方もある。→がめ(亀)
広辞苑 名詞 ①カメ目の 爬虫 (はちゅう)類の総称。体は背腹両面に甲羅があり、両甲は側面で接着して、前後で頭・尾・四肢が出入できる箱状になっている。歯はない。水中または陸上にすみ、植物・魚貝などを食い、水辺の砂地に穴を掘って産卵。リクガメを除き、水中で泳ぐのはうまい。長く飢渇にたえる。首を曲げて甲羅に収める曲頸類と潜頸類とに大別。世界に二〇〇種以上が分布。爬虫類のうち最も起源が古く、化石として発見される種類が多い。日本では鶴と共に長寿の動物としてめでたいものとされる。かめのこ 古事記中「―の()に乗りて」
②亀の甲。 亀卜 (きぼく)に用いた。 万葉集16「 卜部 (うらべ)()せ、―もな焼きそ」
③(亀はよく酒を飲むといわれることから)大酒飲みの異称。
大言海 名詞 (カイ)()ノ略轉カ、((イネ)モ、(イヒ)()ノ略ナルベシ)天武紀、下、二年ニ、備後國、龜石郡トアルヲ、桓武紀ニ、神石ニ作リ、倭名抄ニ、神石郡、加米志トアリ〕
常ニ、かめのこト云フ。淡水ニ產ズル動物、水、陸、共ニ活ク。身、(ヒラタ)ク橢圓ニシテ、大イナルハ長サ七八寸、腹、背、皆、(カフ)ニシテ、甲ノ(ヘリ)ヨリ、頭、尾、四足ヲ出ス、色黑クシテ、背ノ甲、稍高ク、六角ノ紋、十三アリ、腹ノ甲ハ、平ニシテ橫ニ紋アリ、牝ノ背甲ハ、牡ヨリ高シ。他名ニ對シテ、石がめ、山がめ、水がめ等ノ名アリ、水龜 鶴龜 (ツルカメ)ノ條ヲ併セ見ヨ)又、川がめ、蓑がめ、泥がめ、すッぽん等アリ、海ニ、 玳瑁 (タイマイ)、海がめ、し()うがく()うナドアリ、各條ニ注ス。
神代紀、下 三十三 「豐玉姬、自(ノリ)(カメ)、云云、(テラシテ)( ヲ)來到」
倭名抄、十九「龜、加米」

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最終更新:2024年05月08日 21:10