かも(鴨)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① カモ科の鳥のうち、比較的小形の水鳥の総称。全長四〇~六〇センチメートルぐらいで、一般に雄の羽色の方が美しい。あしは短く、指の間に水かきがあって巧みに泳ぐ。くちばしは扁平で柔らかい皮膚でおおわれ、感覚が鋭敏で、ふちにはくしの歯状の小板が並ぶ。河海、湖沼にすみ、淡水ガモと海ガモとに区別される。前者にはマガモ、カルガモ、後者にはスズガモ、クロガモなどがある。日本には冬季に北地から渡来し、春に北地に帰るものが多く、夏季ふつうに見られるのは、カルガモとオシドリのみである。肉は美味で、カモ汁、カモなべなどにする。マガモの飼育変種にアヒルがあり、アヒル(家鴨)に対し野(生)鴨ともいわれる。《季・冬》 ※古事記(712)上・歌謡「沖つ鳥 加毛(カモ)着(ど)く島に わが率寝し 妹は忘れじ 世の尽(ことごと)に」 〔十巻本和名抄(934頃)〕
※俳諧・野ざらし紀行(1685‐86頃)「海くれて鴨のこゑほのかに白し」
鴨・鳧
② よいえもの。うまうまと利益をせしめることができるような相手。勝負ごと、かけごと、あるいは詐欺(さぎ)などで、食いものにするのに都合のよい相手。 「かもにする」
※浄瑠璃・神霊矢口渡(1770)四「近年はこずいかうで能(よい)鳬(カモ)もかからぬ故」
③ 「かも(鴨)の味」の略。 ※雑俳・柳多留‐四五(1808)「伯母と叔母の目をぬき鴨はつがふ也」
④ (「くろがも(黒鴨)」の略) 下男。 ※雑俳・柳多留‐一一(1776)「飯たきを鴨に仕立る枩の内」
[補注]中国では、「鳧」を野鴨、すなわちカモとし、「鴨」を家鴨、すなわちアヒルとしている。
広辞苑 名詞 ①カモ目カモ科の鳥のうち、比較的小形の水鳥の総称。ガンに似るがより小形で、一般に雌雄異色。脚には前向きの三趾間に(みずかき)がある。(くちばし)は横に扁平で櫛の歯状の板歯がある。河海・湖沼に生息。世界に約七〇種。日本では秋、北地から渡来し、春、北に帰るものが多い。マガモ・コガモ・トシガモ・トモエガモなど。〈[季]冬〉 鴨・鳧
②くみしやすい相手。利用しやすい好人物。 「―にする」「いい―」
大言海 名詞 〔萬葉集ニ、かもどりト云ヘルガ、成語ナルベシ、(ウカ)ぶ鳥、(ウカ)む鳥ノ略轉、 御孫命 (ミウマノミコト)、みまのみこと。()(ウブ) 乳部 (ミブ)。萬葉集、十六 三十七 ニ、もてはやさむヲ「 時賞毛 (モテハヤサモ)」同、十四 廿九 ニ棲むヲ「沖ニ 須毛小 (スモヲ)(ガモ)」同、一 廿二 「鴨ジモノ、水ニ浮き居テ」同、十五 十七 「鴨ジモノ、浮寢ヲスレバ」〕
水鳥ノ名、 候鳥 (ワタリドリ)ナリ。雁ニ後レテ來リ、雁ニ後レテ歸ル、雄ヲあ()くびト云フ、頭、頸、深紫ニシテ、綠ナル光アリ、胸、紫ニシテ、黑キ點アリ、腹ハ淡白ニ紫ヲ帶ビテ、黑キ小點アリ、背ハ灰色ニシテ、黑キ斑アリ、翅ハ蒼黑ニシテ、綠、黑、白ヲ雜フ、觜、黃ニシテ、扁シ、雌ハ、淡黃赤ニシテ、黑キ斑アリ、翅、蒼黑ナリ、種類、多ケレバ、分チテ、()(ガモ)トモ云フ、脂多ク、味、最モ美ナリ。野鴨
家ニ飼フハ、あひるナリ。家鴨
萬葉集、四 四十八 鴨鳥 (カモドリ)ノ、遊ブ此池ニ」
古事記、上 七十一 長歌「沖ツ鳥、加毛」
字鏡 六十四 「鴨、加毛」(倭名抄、同ジ)

検索用附箋:名詞動物

附箋:動物 名詞

最終更新:2024年05月08日 21:11