きす(着)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 衣服などを身にまとわせる。着させる。 ※古事記(712)中・歌謡「一つ松 人にありせば 太刀佩(は)けましを きぬ岐勢(キセ)ましを」
※俳諧・此ほとり(1773)一夜四唫の巻「我もいそじの春秋をしる〈几董〉 汝にも頭巾着せうぞ古火桶〈蕪村〉」
着・著・被
② 物を肩や背などに載せる。置く。つける ※書紀(720)雄略一三年九月・歌謡「ぬばたまの 甲斐の黒駒 鞍枳制(キセ)ば」
③ 能面などをつけさせる。 ※太平記(14C後)二七「新座の楽屋八九歳の小童(わらは)に、猿の面をきせ」
④ 物に何かを包みかぶせる。包みおおう。また、鍍金する。 ※玉塵抄(1563)二七「竹の根柴などをかりて一盃きせて、それをやいて」
⑤ こうむらせる。受けさせる。負わせる。 ※玉塵抄(1563)四〇「酒をめたときせて、船にえのらぬを、正体もないを」
※ガトフ・フセグダア(1928)〈岩藤雪夫〉四「盗賊の汚名を着せたりした」
くらわす。打つ。たたく ※天理本狂言・文山立(室町末‐近世初)「今のは、みどもがあたまを、きせた心かと云」
広辞苑 他動詞 ①衣服などを身に付けさせる。着させる。 古事記中「一つ松人にありせば太刀佩けましを衣―・せましを」。
雄略紀「ぬば玉の甲斐の黒駒鞍―・せば」。
「子供に服を―・せる」「歯に衣を―・せない」
着す
②他の物を包む。かぶせる
③負わせる。受けさせる。 昨日は今日の物語「まづ養育なさせ候ふとて、恩に御―・せ候へども」。
「罪を―・せる」「恩に―・せる」
④打つ。たたく 仁勢物語「馬取の 鼻捻 (はなねじ)ほどの棒もがな濡らせる人を―・せて腹()ん」
大言海 他動詞 〔着るノ擧動ヲ、他ニセサスルナリ、みる、みするノ例〕
(一){着ルヤウニナス。(カウ?ム)ラス。
古事記、中(景行) 五十四 長歌「一ツ松、人ニアリセバ、太刀()ケマシヲ、(キヌ)岐勢マシヲ」
(二)(オホ)ヒ包ム。カブセル。(餝ノ細工ナドニ) 「金ヲきす」銀ヲきせテ」
(三)(カウブ)ラス。受ケシム。 「思ヲきす」罪ヲきす」
動詞活用表
未然形 きせ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 きせ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 きす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 きする も、かも、こと、とき
已然形 きすれ ども
命令形 きせよ

検索用附箋:他動詞下二段

附箋:下二段 他動詞

最終更新:2024年05月18日 20:08