きぬ(衣)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 衣服。着物。特に、上半身からおおって着るものを総称していう。また、衵(あこめ)、かずきなどもいう。→きぬ(衣)着す 万葉集(8C後)一四・三四五三「風の音の遠き我妹子が着せし伎奴(キヌ)たもとのくだりまよひきにけり」
② 動植物の肉をおおっているもの。動物の羽毛、皮、また植物の外皮、特に芋の子の皮など。 枕草子(10C終)一五一「にはとりのひなの、足高に、しろうをかしげに、きぬみじかなるさまして」
③ なにもついていない肉体のはだ。地はだ。 枕草子(10C終)三「舎人の顔のきぬにあらはれ、まことにくろきに」
[語誌](1)上代では日常の普段着。旅行着や外出着は「ころも」といった。そのため「きぬ」は歌ことばとはならなかったようで、複合して「ぬれぎぬ」以外は三代集以降姿を消す。
(2)院政期以降は衣服の総称でなくなり、「絹」の意の例が見えはじめ、軍記物語では上層階級や女性の着衣の意味で用いられている。下層階級の衣服は「いしゃう」であった。
広辞苑 名詞 きもの。衣服。 古事記中「―着せましを」
②衣冠の装束または 直衣 (のうし)・狩衣・女房装束の下に重ねる衣。 (あこめ)
③中身を覆っているものを比喩的にいう。皮膚、動物の羽・皮または里芋の子の皮など。 枕草子3「舎人の顔の―にあらはれ」
大言海 名詞 ()(ヌノ)ノ略カ、(ぬのノ條ヲ見ヨ)ころもモ、 着物 (キルモノ)ノ約轉〕
(一){ころもニ同ジ。 着物 (キルモノ)キモノ。衣服。
古事記、中(景行) 五十四 倭建命御長歌「 一松 (ヒトツマツ)、人ニアリセバ、 太刀佩 (タチハ)ケマシヲ、 岐奴 (キヌ)着セマシヲ」
古今集、十七、雜、上「()チ縫ハヌ、きぬ着シ人モ、ナキモノヲ、ナニ山姬ノ、布晒ラスラム」
(二)へびのきぬ。其條ヲ見ヨ。
(三)きぬか ()き(被衣)ノ略。其條ヲ見ヨ。

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最終更新:2024年05月25日 19:59