きり(霧)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「きる(霧)」の連用形の名詞化 )
① 空気中の水蒸気が凝結して細かい水滴となり、地表近くの大気中に煙のようになっている自然現象。気象用語としては、水平視程約一キロメートル以遠の視界を妨げている状態とされる。古くは四季を通じて用いたが、平安時代以降は春立つものを霞(かすみ)、秋立つものを霧という伝統的季節美の概念が成立した。現代、気象用語としては季節にかかわりなく用いられている。《 季語・秋 》
万葉集(8C後)一〇・一八九二「春山の霧に惑へる鶯もわれにまさりて物思はめやも」
② 人の吐く息。また、①を息に見立てた語。嘆息の場合に用いることが多い。 古事記(712)上・歌謡「やまとの 一本薄 うなかぶし 汝が泣かさまく 朝雨の 疑理(キリ)に立たむぞ」
③ 水や液体などを霧のように細かくして空気中に飛ばしたもの。多く「霧を吹く」の形で用いられる。 人情本・閑情末摘花(1839‐41)初「口にて霧(キリ)をふきかけつつ皺を伸して」
広辞苑 名詞 ①地面や海面に接した気層中で水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって大気中に浮遊し、煙のように見えるもの。古くは春秋ともに(かすみ)とも霧ともいったが、平安時代以降、春立つのを霞、秋立つのを霧と呼び分ける。気象観測では水平視程が一キロメートル未満の場合をいい、一キロメートル以上は(もや)という。〈[季]秋〉。 万葉集5「春の野に―立ち渡り」。
「―がかかる」
②人の吐く息。 万葉集15「わぎもこが嘆きの―に飽かましものを」
③液体を噴出させて霧1のようにしたもの。 「―を吹く」
大言海 名詞 ()るノ名詞形〕
(一)空氣中ノ水蒸氣ノ、密ニ濕リテ、水陸ノ面ニ近ク漂フモノ。モヤ。霧ノ起るヲ立つト云ヒ、和歌ニハ多ク、秋ニ()ム。
萬葉集、五 大野 (オホヌ)山、 紀利多知 (キリタチ)ワタル」
倭名抄、一「地氣上天曰霧、岐利」
(二)人ノ 息噴 (イブキ)。人ノ、歎キテ吐キ出ス、强キ 氣息 (イキ)ノ霧トナリテ立チワタルトシテ云フ語。 神代紀、上 廿二 吹棄 (フキツル) 氣噴 (イブキ)() 狹霧 (サギリ)
萬葉集、十五「君ガ行ク、海邊ノ宿ニ、 奇里 (キリ)立タバ、吾ガ立チ歎ク、息ト知リマセ」
同卷「吾ガ故ニ、妹歎クラシ、風早ノ、浦ノ沖邊ニ、奇里タナビケリ」
源、十三、明石 四十六 「歎キツツ、明石ノ浦ニ、朝霧ノ、立ツヤト人ヲ、思ヒヤルカナ」
(三)心ニ、イブセク思フコト。 源、四十四、橋姬 三十一 「御山籠リ、果テハベラム日數モ、承リオキテ、イブセカリシ霧ノマヨヒモ、(ハル)ケハベラム」

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附箋:名詞 天文

最終更新:2024年06月02日 18:30