辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 名詞 | ① ゴマノハグサ科の落葉高木。中国原産と考えられ各地で栽植され、ときに野生状態のものもある。高さ一〇メートル、周囲一メートル以上になる。生長は早く、女の子が生まれた時に植えると、嫁に行く時には箪笥(たんす)の用材になるといわれる。また、最初にのびた茎をそのままにしておくよりも、一度もとから切った方がかえってよく生長する。樹皮は灰白色。葉は長柄をもち対生、大形の広卵形で三~五浅裂し、基部は心臓形、長さ二〇~四〇センチメートル、幅一〇~二〇センチメートル、裏面には綿状の毛を密生。初夏、葉に先だって枝先に大形の円錐花序を立て、長さ五~六センチメートルの淡紫色の筒状唇形花を多数つける。果実は長さ約三センチメートルの卵形でかたく、のち二裂して多数の種子を出す。種子は扁平で翼をもち、風に乗って飛散する。材は白色、心材は淡黄色または淡紫色で木目(もくめ)が美しく光沢があり、耐湿・耐乾性に富み、軽いので、箪笥、長持、琴、琵琶(びわ)、下駄、浮木(うき)および書画の容器などを作る。樹皮は染料、葉は除虫薬に用いる。きりのき。はなぎり。ひとはぐさ。ひとはぐわ。 | 西大寺資財流記帳‐宝亀一一年(780)一二月二五日「呉公二面、一面、桐、白、在赤紫綾山形、押金銅裁物鳳鸚並雲形縁」 | 桐 |
② 紋所の名。桐の花や葉を図案化したもの。五三の桐、五七の桐、光琳桐、桐車、割桐、三つ割桐などの種類がある。 | ||||
③ ( 桐材を用いるところから ) 琴の異称。 | 雑俳・柳多留‐二七(1798)「奥表やかましいはつ桐紫檀」 | |||
④ ( 桐紋が刻印してあるところから ) 大判、小判、一分金などの判金の異称。転じて、金(かね)の意にいう。桐の薹(とう)。 | 雑俳・柳多留‐六七(1815)「分銅と桐で名高き京の寺」 | |||
⑤ 三をいう隠語。江戸時代、主として馬方、駕籠舁(かごかき)の符丁として用いられた。 | 雑俳・住吉みやげ(1708)「きりがれんまで知ってゐてちゃせんうり」 | |||
⑥ 「かこいじょろう(囲女郎)」の異称。 | 評判記・難波鉦(1680)三「太夫を松といひ、天神を梅といふによりて、桐とかこひをいひます」 | |||
⑦ ( 桐が描かれているところから ) 花札の一二月に当たる札。また、特に、その内の二〇点札をいうこともある。 | 洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)折助冷飯「骸(からだ)を微塵に桐の大引き、流るる血しほは中赤の」 | |||
[語誌](1)「万葉‐八一〇」の題詞に「梧桐日本琴一面」とあるので、①は奈良時代以前に渡来して栽培され、琴材などに用いられていたらしい。ただし、これがアオギリ(梧桐)なのか、キリ(白桐)なのかは不明。 (2)鳳凰がこの木に住むといわれ、桐と鳳凰のとり合わせが古くからよく見られる。これは「詩経‐大雅・巻阿」の「鳳皇鳴矣、于彼高岡、梧桐生矣」による。 (3)中国文化の影響で日本漢詩には早くから用いられ、葉を秋の景物として詠む。和歌に詠まれるようになるのは「新古今集」のころで、庭に散り敷いた落ち葉に霰や村雨が降り注ぐという様子を詠んだ歌が多い。 |
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広辞苑 | 名詞 |
①ゴマノハグサ科の落葉高木(この科唯一の木本。キリ科とすることもある)。原産は中国大陸、日本各地に栽培。幹は高さ約10メートルに達する。葉は大形掌状、三浅裂。晩春、芳香ある淡紫色の筒形五弁の美花を開く。材は軽軟で色白く、くるいが少なく、耐火性があり吸湿性も少ないので、琴・ |
枕草子37「―の木の花、紫に咲きたるはなほをかしきに」 | 桐 |
②紋所の名。桐の花や葉にかたどったもの。正式には「桐の |
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③(桐材で造るからいう)琴の異名。 | 新拾遺和歌集雑「―の糸にもたづさはる」 | |||
④(桐紋を打ってあるからいう)小判の異名。 | 誹風柳多留31「―の光で鳳凰も籠を出る」 | |||
大言海 | 名詞 |
〔伐るノ名詞形、きりのきト云フガ成語ナリ、倭訓栞、きり「桐ハ、シバシバ伐リテ、却テ榮ユルモノナレバ名トス」伐リコメバ、初ヨリ一倍モ榮ユトテ、桐一倍ト云フ諺モアリ〕 (一){樹ノ名。 |
字鏡
四十七
「桐、支利乃支」 本草和名、下 三 「桐、岐利乃岐」 倭名抄、二十 廿七 「梧桐、木里」 |
桐 |
(二)琴ノ異名。桐ノ材ニテ造レバナリ。 |
新拾遺集、二十、長歌「心ヲ 萬葉集、五 十一 「梧桐日本琴」 枕草子、三、廿一段「桐、云云、琴ニ造リ、サマザマナル音ノ出來ルナド、ヲカシ」 |
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(三)紋所ノ名。皇室ノ御紋章ナルハ、 |
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(四)小判ノ異名。(桐ノ葉ノ形ヲ刻ミアレバ云フ) | 寬政ノ川柳「桐ノ光デ、鳳凰モ、籠ヲ出ル」(請出サレル) |
検索用附箋:名詞植物