きる(霧)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 霧がたつ。曇る。かすむ 催馬楽(7C後‐8C)紀の国「風しも吹けば 余波(なごり)しも立てれば 水底(みなぞこ)支利(キリ)て はれ その珠見えず」
② 涙で目が曇る。目がかすんではっきり見えない。 源氏物語(1001‐14頃)夕霧「御髪(ぐし)かき撫でつくろひ、おろし奉り給ひしをおぼし出づるに、目もきりていみじ」
広辞苑 自動詞 ①霧が立つ。かすむ。曇る。 万葉集1「霞たち春日の―・れるももしきの大宮どころ」 霧る
②涙で目がかすんではっきり見えなくなる。 源氏物語帚木「目も及ばぬ御書きざまも、目も―・りて」
大言海 自動詞 〔かをる、(靄)こる、きるト轉ジタル語ナルベシ、(萬葉集古義、一、中)かをり、(薰)こり、(香)こる、きる、(伐)名詞形ニテ、(キリ)トナル〕
(一)霧、立チナビク。キラフ
景行紀、四十年十月「峯(キリ)、谷(クラクシテ)、無復可行之路
躬恆集「きり曇ル、道ハ見エズモ、惑フカナ、イヅレカ佐保ノ、山路ナルラム」
枕草子、四、三十九段「有明ノ、イミジウきりワタリタル庭ニオリテアリクヲ聞召シテ、御前ニモ起キサセタマヘリ」
源順集「チハヤブル、加茂ノ川霧、きる中ニ」
夫木抄、二「晴レヤラヌ、雪ゲノ雲ニ、きり合ヒテ、曙寒キ、 二月 (キサラギ)ノ空」
同、十二「伊駒ノ山ハ、きり(ガク)レツツ」
新勅撰集、四、秋、上「イトドシク、物思フ宿ヲ、きりコメテ、眺ムル空モ、見エヌ今朝カナ」
(二) (カス)。曇ル。クラガル 萬葉集、一 十七 長歌「霞立ツ、 春日 (ハルビ) 霧流 (キレル)、夏草カ、茂ク成リヌル」
催馬樂、紀伊國「水底 岐利 (キリ)テ、其珠見エズ」
(三)眼、(カス)ム。 源、二、帚木 四十六 ()(フミ)、云云、目モ及バヌ御書キザマモ、目モきりテ、云云、臥シタマヘリ」
同、三十九、御法 十八 「臥シテモ、起キテモ、淚ノ干ル夜ナク、きり(フタガ)リテ、明カシクラシタマフ」
動詞活用表
未然形 きら ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 きり たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 きる べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 きる も、かも、こと、とき
已然形 きれ ども
命令形 きれ

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附箋:四段 自動詞

最終更新:2024年11月17日 21:57