くは(桑)

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日本国語大辞典 名詞 ① クワ科クワ属の落葉高木または低木で、分類学上および養蚕上いくつかの種類や系統に分けられる。幹は直立して高さ一〇メートル以上になるものもあるが、栽培種では毎年枝条を刈るので低木状に見える。葉は柄をもち、卵形または卵状心臓形、先はとがり縁は鋸歯(きょし)状となり、両面に短毛を生じる。葉身が三~五裂することもある。雌雄異株または同株。春、葉腋(ようえき)に長さ約二センチメートルの黄緑色の花穂をたれる。果実はキイチゴの実に似ており、初め赤色でのち紫黒色に熟し甘味があり食べられる。葉は蚕の重要な飼料。樹皮は黄色染料に用いられ、またその繊維から布、縄、和紙などを製造し、材は床柱、火鉢、鏡台、三味線の胴などに使われる。北半球の温帯、暖帯に約三五種分布する。栽培種は主として日本各地に野生するヤマグワ、中国山東省原産のロソウ、中国、朝鮮原産のカラヤマグワ(トウグワ)の三種を改良したもの。《 季語・春 》 日本書紀(720)神代上(水戸本訓)「此の神の頭(かしら)の上(うへ)に蚕(かひこ)と桑(クワ)と生(な)れり」
② 桑の木材。桑材。堅く、つやがあり、くるいが少ないので、家具、細工物、あるいは床柱、床板などに用いる。 吾妻鏡‐文治五年(1189)一一月一八日「桑脇息一脚」
③ 桑の葉。蚕の飼料とする。 為忠集(鎌倉中か)「囀りしあとりの声に時過ぎて桑飼ふ事を打ち忘れけり」
④ 「くわいろ(桑色)」の略。
⑤ 紋所の名。窠(か)の紋のこと。「窠」の字音が「くゎ」であったところから、桑に当てたもの。
広辞苑 名詞 ①クワ科の落葉高木クワ類の総称。ヤマグワおよびその栽培品種がもっとも普通だが、別種のハチジョウグワ、中国産の 魯桑 (ろそう)なども栽培され、改良品種も多い。養蚕のために刈りとるから長大なものは少ない。樹皮は淡褐色、葉は深い切れ込みのあるものと全緑のものとある。春、淡黄緑色の単性花を穂状に綴る。雌雄異株、稀に同株。花後、小さい実を結び、熟すれば紫黒色を呈し、味は甘い。材は諸種の用に供し、特に自生樹は硬く、工芸用材として珍重。樹皮の繊維は製紙の原料。殊に葉は養蚕用として重要。四木の一つ。〈[季]春〉。「桑の実」は〈[季]夏〉。 万葉集7「母が其の(なり)の―すらに」
②桑色の略。
大言海 名詞 蠶葉 (コハ)ノ轉カト云フ( 黃金 (コガネ)、くがね)くはの木ト云フガ、成語ナルベシ〕
木ノ名、諸國ニ多ク植ヱテ、葉ニテ蠶ヲ養フ、春、葉ニオクレテ、花ヲ生ズ、穗ヲナシテ、(カウゾ)ノ穗ニ似タリ、小サキ實、簇リ生ジテ、穗ヲナス、いちごノ如クニシテ、長シ、初、靑ク、後、赤ク、熟スレバ、黑ク、味、甘シ、く()いちごト云フ。()葉ノ形、圓ク尖リテ、刻ミアルヲ、()桑、(マル)桑(白桑)ト云フ、厚クシテ、汁多ク、蠶ヲ養フニ好シ。又、葉ニ、(マタ)アリテ薄キヲ、(ヤマ)桑、(アザミ)桑(鷄桑)ト云フ、此品、藥用トモナス。材モ亦、堅ク、良シ、皮ニテ、紙ヲモ製スベシ。
神代紀、上 稚產靈 (ワカムスビ)、此神頭上、生(カヒコ) 一レ (クハ)
天治字鏡、七「桑、久波乃木」
倭名抄、廿 廿六 木類「桑、久波」說文「桑、蠶所葉木也」

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附箋:名詞 植物

最終更新:2024年06月15日 20:42