くみ(胡頽子)

日本国語大辞典 名詞 [ 一 ] ( 古くは「くみ」か ) 植物。
① グミ科グミ属の植物の総称名。また、その実。特にナワシログミなどそのうちの数種の植物をさしていうことがあるが、地方により種類は異なる。日本には一五種ほどあり、落葉または常緑低木で、高さは二メートルほどになる。褐色か銀色の鱗毛や星状毛を密布した葉を互生する。春、または秋に、先が四裂した白色の筒状花を開く。果実は球形で赤熟し食べられる。材は強靱で農具の柄とする。落葉性のものにナツグミ、アキグミ、マメグミなど、常緑性のものにナワシログミ、ツルグミ、マルバグミなどがあり、庭木や生垣として栽植される。胡頽子はナワシログミの漢名とされるが、慣用的に用いられる。漢名に茱萸を用いるのは誤用。《 季語・秋 》
本草和名(918頃)「胡頽子 和名久美」 胡頽子・茱萸
② 植物「いわひば(岩檜葉)」の古名。 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
③ 植物「さとうきび(砂糖黍)」の古名。 〔観智院本名義抄(1241)〕
④ 植物「うぐいすかぐら(鶯神楽)」の古名。
[ 二 ] 動物。キンコ科に属するナマコ類の一種。体長約八センチメートル。体は腎臓形で、前端に一〇本の樹枝状の触手があり腹側の一対は短い。体長は淡紅色で小斑点があり、歩帯に沿って管足が二列に並ぶ。相模湾などの浅海の砂礫地にすみ、砂や貝殻を集めて体をおおっている。干して肥料にする。
[ 三 ] ( 形が[ 一 ]①の実に似ているところから ) 鎧(よろい)の肩上(わたがみ)の上、左右の障子の板の外側にある管状の金具。袖の緒を結ぶために設けられたもの。また、そこに結びつける革緒。
辞書 品詞 解説 例文 漢字
広辞苑 名詞 〔植〕⇒ぐみ(茱萸) 本草和名「胡頽子、和名久美」 胡頽子
大言海 名詞 〔くハ、()ノ轉ニモアルカ(()(ガネ)、くがね)()ノ皮ニ、きらら色ノ()アリ、 小子 (コミ)ノ轉カト云フ說ハ、オボツカナシ、もろなりト云フハ、 衆多成 (モロモロナリ)ニテ、實ノ繁キ故ノ名ナリト云フ說アリ〕
今、濁音ニ、ぐみト云フ、次次條ヲ見ヨ。モロナリ
本草和名、下 三十三 「胡頽子、久美」
倭名抄、十七菓類「胡頽子、久美、一云、毛呂奈里、本朝式、用諸生子三字
大膳職式「備中國貢進菓子、諸成」
胡頽子

又、「ぐみ」も参照。

検索用附箋:名詞動物植物

附箋:動物 名詞 植物

最終更新:2024年06月19日 22:03