けす(消)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 火の燃焼をとめる。 百法顕幽抄平安中期点(900頃)「其の火を滅(ケシ)たまふに」
なくす。除き去る。 西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「悪夢悉く皆無けむ。及諸の毒害を消(ケサ)む」
③ 貸借を清算する。帳消しにする。また、勘定を支払う。 歌舞伎・盟三五大切(1825)大詰「その化け物を退治たら、店賃(たなちん)は消(ケ)して、遣(や)らないよ」
④ ( 「肝を消す」の形で ) 心の落ち着きを失う。非常にびっくりする。 平家物語(13C前)灌頂「沖につりする船をば敵の船かと肝をけし」
⑤ 字や絵などを塗りつぶしたり削りとったりして見えなくする。 日葡辞書(1603‐04)「ジヲ qesu(ケス)」
けなすくさす 甲陽軍鑑(17C初)品一三「そしるもけすも無案内なる者共己れが贔屓の人をほむれば」
⑦ 言うことを否定する。 浮世草子・新色五巻書(1698)三「今云ふた事は眠たなぐさみ、たは事なりとけしてまはれば」
⑧ 殺す。 歌舞伎・桑名屋徳蔵入船物語(1770)三「幸ひ傍(あた)りに人もなし、いっそ、手短かに消(ケ)して仕舞うかい」
⑨ 金、銀などの箔(はく)をかぶせる。めっきする。 日葡辞書(1603‐04)「ハク、または、デイヲqesu」
⑩ 時間を費やす。時間をつぶす。 和漢朗詠集(1018頃)上「竹院に君閑かにして永日を銷(けす)ならん 花亭に我酔うて残んの春を送る〈白居易〉」
⑪ 電灯、ラジオ、テレビ、ガスなどのスイッチをきる。 竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生と虚空「パッと電気を消され」
⑫ 身をかくして見えないようにする。いなくなる。行方をくらます。 日本橋(1914)〈泉鏡花〉六三「小児演技(こどもしばゐ)の忠臣義士を煙に巻いて、姿を消した旅僧が」
広辞苑 他動詞 (古くは「()つ」)
①火の燃えるのをとめる。
曾我物語5「まつ灯火を―・せ」。
天草本伊曾保物語「少しの火を―・さねば 猛火 (みょうか)の禍が出来」
消す
②なくならせる。除く。去る。 西大寺本最勝王経平安初期点「諸の毒害を(けさ)む」。
曠野「宵闇の稲妻―・すや月の顔」(長虹)。
「においを―・す」「証拠を―・す」
③(塗ったり削ったりして)形跡が見えないようにする。 日葡辞書「ジヲケス」。
「姿を―・す」
④(多くは「肝を―・す」の形で)驚き・悲しみなどのために心の平静を失う。 平家物語12「駒をはやむる武士あれば、我が頸討たんずるかと肝を―・し」。
御伽草子、梵天国「雷一つ二つ鳴りまはる。それさへ肝を―・しつるに」
くさすけなす 甲陽軍鑑5「そしるも―・すも無案内なる者ども」
たやすほろぼす。殺す。 「うわさを―・す」「邪魔者を―・す」
⑦スイッチを切って器具の使用をやめる。 「電灯を―・す」「テレビを―・す」
大言海 他動詞 〔きやすノ約、 雪消 (ユキギエ)、ゆきげ〕
(一)燃ユルヲ、(トド)ム。 ()キヤス
「火ヲ消す」
(二)無クスル。除ク。去ル。()ス。 「毒ヲ消す」
(三)塗リテ、見エヌヤウニナス。塗抹 「墨ニテ、文字ヲ消す」
(四) (トド)ツブス。絕ユルヤウニナス。 人口 ()ヲ消す」
動詞活用表
未然形 けさ ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 けし たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 けす べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 けす も、かも、こと、とき
已然形 けせ ども
命令形 けせ

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2024年06月29日 21:09