こち(東風)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 東の方から吹いて来る風。特に、春に吹く東の風をいう。ひがしかぜこちかぜ。《 季語・春 》 拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑春・一〇〇六「こち吹かばにほひおこせよ梅花あるじなしとて春を忘るな〈菅原道真〉」 東風
[語誌]( 1 )上代には確例はない。中古には、「散りきてもとひぞしてまし言の葉をこちはさばかり吹きしたよりに」〔蜻蛉‐上〕のように秋の風とする例もある。「塵袋‐一」の「春は東より来れば、東風ははるかせ也」と、五行説を背景とした説明を参酌すれば、春の風に定着したのは、中世からであろう。
( 2 )挙例の道真の和歌は、「大鏡‐二」では、筑紫下向直前の逸話だが、のちに、この和歌をもとに飛梅説話が成立した。
広辞苑 名詞 (「ち」は風の意)春に東方から吹いて来る風。ひがしかぜ。春風。こちかぜ。〈[季]春〉。 拾遺和歌集雑春「―吹かば匂ひおこせよ梅の花」 東風
大言海 名詞 小風 (コチ)ノ義ニテハ(ち、(ハヤ)()ナドノちナリ、 ()ノ條ヲ見ヨ)春風ノ、ヤハラカキ意ニ起リタルニモアルカ、こちの風ハ、 重言 (ヂユウゴン)ナレド、語原ハ忘レラレテ云フナリ、(アラ)()の風ナドモ、同ジ〕
(ヒガシ)ヨリ吹ク風。ヒガシカゼ。沖繩ニテ、くち。
萬葉集、十 三十七 「春日野ノ、萩シ散リナバ、 朝東 (アサゴチ)ノ、風ニ(タグ)ヒテ、 此處 (ココ)ニ散リ()ネ」
拾遺集、十六、雜春「こち吹カバ、匂ヒオコセヨ、梅ノ花、(アルジ)ナシトテ、春ヲ忘ルナ」
重之集「こち風モ、ケヌルクナレバ、吾ガ宿ノ、梅ノ匂ヲ、ヲリヲリゾ見ル」
人麿集「ワタツミノ、沖ニこち風、早カラシ、鹿ノ子マダラニ、浪高ク見ユ」
貫之集、雜「こち風ニ、氷トケナバ、鶯ノ、高キニウツル、聲ヲ吿ゲナン」
東風

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最終更新:2024年07月27日 15:47