こひ(恋)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「こう(恋)」の連用形の名詞化 )
① 人、土地、植物、季節などを思い慕うこと。めでいつくしむこと。
万葉集(8C後)三・三二五「明日香河川淀去らず立つ霧の思ひ過ぐべき孤悲(コヒ)にあらなくに」
源氏物語(1001‐14頃)若紫「をさなき程に恋やすらむ」
② 異性(時には同性)に特別の愛情を感じて思い慕うこと。恋すること。恋愛。恋慕。 常陸風土記(717‐724頃)香島「既に故(ふる)き恋の積れる疹(やまひ)を釈(と)き」
新古今和歌集(1205)恋一・一〇二九「我が恋はまきの下葉にもる時雨ぬるとも袖の色に出でめや〈後鳥羽院〉」
歌謡・閑吟集(1518)「まつ宵はふけ行鐘をかなしび、あふ夜は別のとりをうらむ、恋ほどの重荷あらじ、あらくるしや」
③ 和歌、連歌、俳諧などで恋愛を題材とした作品。また、その部立(ぶだて)。 連理秘抄(1349)「一、句数 春・秋・恋 以上五句」
④ 愛人。情婦。 にごりえ(1895)〈樋口一葉〉七「其れをば思はで我が情婦(コヒ)の上ばかりを思ひつづけ」
[語誌]( 1 )上代では、①のように、対象に幅があったが、中古以降は、②のように、もっぱら恋愛の感情を表わすようになった。
( 2 )歌語としての性格が強かったためか、中古の散文にはあまり見られない。
広辞苑 名詞 ①一緒に生活できない人や亡くなった人に強くひかれて、切なく思うこと。また、そのこころ。特に、男女間の思慕の情。恋慕。恋愛。 万葉集20「常陸さし行かむ雁もが()が―を記して付けて妹に知らせむ」。
「―に身を焼く」
②植物や土地などに寄せる思慕の情。 万葉集10「桜花時は過ぎねど見る人の―の盛りと今し散るらむ」
大言海 名詞 (一)戀フルコト。慕ヒ、思フコト。戀慕。 萬葉集、十八 十六 (ヲバ) 坂上郞女 (サカノヘイラツメ)、越中守、大伴家持ニ贈レル歌「常人ノ、 故布 (コフ)ト云フヨリハ、餘リニテ、吾レハ死ヌベク、ナリニタラズヤ」 片思 (カタモヒ)ヲ、馬ニ 太馬 (フツマ)ニ、(オホ)セモテ、 越方 (コシヘ)()ラバ、人 勾引 (カダ)ハムカモ」
報歌「アマザカル、(ヒナ)(ヤツコ)ニ、 天人 (アメビト)シ、(カク) 古非 (コヒ)スラバ、()ケルシルシアリ」常ノ 孤悲 (コヒ)、イマダ()マヌニ、都ヨリ、馬ニ 古非來 (コヒコ)バ、荷ヒアヘムカモ」(親族、相思フナリ)
後撰集、十、戀、二「人妻ニ、心アヤナク、カケハシノ、危キモノハ、戀ニゾアリケル」(男女ノ情交、戀慕ナリ)
(二)歌集ノ類別ニ、戀歌ヲ集メタル部ノ稱。
萬葉集ニハ、 相聞 (サウモン)トシテ、男女、夫婦、兄弟、朋友、相、思フ詠ヲ倂載セリ。
「春、夏、秋、冬、戀、雜」

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最終更新:2024年07月28日 16:55