こひ(鯉)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① コイ科の淡水魚。ふつう全長六〇センチメートルくらいになる。一般に体はやや側扁する。フナに似ているが体は大きくなり、上あごに二対のひげがある。うろこは円鱗で、側線を形成するうろこの数が三六枚前後あることから六六魚(りくりくぎょ)ともいう。野生種は暗灰色だが、人工飼育によってヒゴイ、ニシキゴイ、ドイツゴイなど体色の変化や鱗の著しく少ないものなど飼育品種がつくられた。原産地はアジアの温帯地域一帯およびヨーロッパの一部と考えられているが、アメリカその他に移殖され、現在では世界の温帯に広く分布。食用または観賞用に養殖もされ、日本では特に珍重される。 〔常陸風土記(717‐724頃)〕
② 鯉幟(こいのぼり)の鯉をいう。 雑俳・川傍柳(1780‐83)一「鯉をおろして蒼朮(そうじゅつ)をたいて居る」
③ ( ②から転じて ) 男の子の異称。 雑俳・柳多留‐六六(1814)「鯉を産だで兄様は滝登」
④ ( ①の形を刻んであるところから ) 寺院で食事などの時に叩いて一山の僧に知らせる魚板(ぎょばん)。 雑俳・柳多留‐四六(1808)「おまんまに鯉くらわせる興福寺」
広辞苑 名詞 コイ科の淡水産の硬骨魚。側線鱗が三六枚あるというので 六六魚 (りくりくぎょ)とも呼ぶが、実際には三一~三八枚ほどの変異が見られる。二対の口ひげがあり、急な流れのない泥底の川や池を好む。日本では食用・観賞用として珍重され、また立身出世の象徴とされる。変種に錦鯉やドイツから輸入した革鯉などがある。鯉魚。 土佐日記「―はなくて、(ふな)よりはじめて、川のも海のも」
大言海 名詞 〔戀ノ義ニテ、景行紀ニ、鯉ヲ池ニ放チテ、弟媛ヲ誘ヒタマヒシニ起ル、ト云フハ、附會ナリ〕
魚ノ名、 淡水 (マミヅ)ニ產ズ、大ナルハ、體長、三四尺ニ及ブ、力、強シ、背ノ色、蒼黑ニシテ、兩ノ髭、口ヲ夾ミテ生ジ、眼、大キク、鬣、紫ナリ、其脇ノ鱗、 一道 (ヒトスヂ)、首ヨリ尾ニ至ルマデ、三十六片アリテ、鱗每ニ、小黑點アリ、因リテ、六六魚ノ名モアリ。河魚ノ長ト稱シテ、供膳ノ最トシ、 登龍門 (トウリユウモン)ノ意ニ因リテ、出世魚ト稱シテ、祝儀ノ用ヰラル。
靈異記、下、第十五緣「煮鯉寒凝」訓釋「鯉、己比」
字鏡 七十二 「鯉、古比」(倭名抄、同ジ)
景行紀、四年二月、美濃國ニ行幸ス、美人、弟媛、竹林ニ隱ル「天皇(ハカリキ)( メント)弟媛(ヲ ラ)、而居(ククリノ) 鯉魚浮 (コヒヲハナチテ)( ニ)、朝夕臨視而戲遊、時、弟媛、欲其鯉魚(ノ ヲ)、而密來臨池、天皇則留而通之」
夫木抄、三十、故宮「イト(ネタ)シ、(ククリ)ノ宮ノ、池ニ棲ム、こひ故人ニ、欺カレヌル」
倭訓栞、こひ「鯉モ、戀ヨリ出デシ名ナリ、景行紀ニ、其旨、見エタリ」

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最終更新:2024年07月28日 17:01