さね(札・甲葉)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 騎射用の甲冑(かっちゅう)を構成する細長い板。甲板、甲札、甲葉ともいう。鉄または革で作り鉄札、革札といい、一領に八百枚から二千枚を連結して作る。一枚に二行一三の孔を普通とし、下の八孔を左右連結の横縫いにする孔、上の五孔を上下に続ける威(おどし)の孔とする。形によって、荒目(あらめ)札、敷目(しきめ)札、平(ひら)札、盛上(もりあげ)札、伊予札、小札、細(こまか)札などの種類がある。 平家物語(13C前)九「いくさといへば、さねよき鎧きせ、おほ太刀・つよ弓もたせて」
[補注]古くは木片であった可能性が高く、木製品であったならば、甲冑を付ければ、松の実のように頑丈であるという構造上・機能上の類似性から、植物の実と同じく「サネ」と訓じたと思われる。
広辞苑 名詞 鉄または 練革 (ねりかわ)で作った、(よろい)を構成する細長い小板。上部を 札頭 (さねがしら)、下部を 札足 (さねあし)という。これを横に重ねて革緒でからみ、糸または革の緒で縦に数段(おど)す。
大言海 名詞 (カサ)ね上略カ、類聚名物考(山岡明阿彌)武藝、五「札ヲ、さねト訓メル意ハ、かさねノ上略ニシテ、重ネテ(オド)セバ、サ云ヘルニヤ」出典ノ歌ニ「古鎧、さねさねテコソ、別レハテヌレ」ト見ユ、萬葉集ニ、こむかひト云フ語アルハ、かけむかひノ上略ナルベク、さねこむト云フ語モ、かさね來むナラムトモ思ハル〕
鎧ヲ製スル材料ノ名。鐵、又ハ、革ニテ作レル、小サキ板ノ如キモノ、アマタ、鱗ノ如ク重ネテ、絲ニテ綴ル、多クハ、黑漆塗ナリ、金箔、 鍍金 (メツキ)ナルモアリ。又、()(ザネ)トモ云フ。
兵庫寮式「挂甲一領、札、八百枚」
下學集(文安)下、器財門「(サネ) 鎧鐵 ()也」
太平記、三十三、菊池合戰事「菊池ガ着タル鎧ハ、此合戰ノタメニ、三人張ノ精兵ニ、草摺ヲ一枚ヅツ射サセテ、(トホ)ラヌ札ヲ、一枚マゼニ拵ヘテ成シタレバ、如何ナル强弓ガ射ケレドモ、裏カク矢、一ツモ無カリケリ」(一枚まぜトハ、鐵札ト、革札トヲ、一枚置キニ綴レルナリ)
七十一番職人盡歌合(文安)廿番、鎧細工「シカヘシヲ、ムクヒハイサヤ、古鎧、さねさねテコソ、別レハテヌレ」詞「シカヘシノ物ハ、さね(ガシラ)(ソロ)ハデ」
高館草子(足利時代)義經「 御邊 (ゴヘン)ニ、是ヲ取ラスルトテ、唐錦威、 黃金 (コガネ)ざねノ腹卷ヲ(ヌイ)デ、龜井ニ取ラセケリ」
難波戰記、四、若江合戰、長門守討死「木村、其日ノ裝束ニハ、金銀一枚雜ノ 小實 (コザネ)ノ鎧、云云」
左傳、成公十六年「潘尫之黨、與養由基甲射之、徹七札」杜注「(サツ)、甲葉也、一葉爲一札
正字通「革片、謂之札
札・甲葉

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最終更新:2024年09月14日 18:47