さめ(鮫・鯊)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 軟骨魚綱のうち、エイ類を除いたものの総称。体形は紡錘形または延長形で、骨格は軟骨からなる。体表は歯とよく似た構造をもつ皮歯または楯鱗(じゅんりん)と呼ばれるうろこでおおわれ、ざらざらするものが多い。一般に吻(ふん)はとがり、口は体の下面に開き、歯が鋭い。鰓孔(さいこう)は体側に五~七対ある。大きさは全長約二〇センチメートルのツラナガコビトザメから一八メートルに達するジンベイザメまで種類によって異なり、大形種をフカと呼ぶこともある。体内受精で、卵生、卵胎生、胎生などがある。一部の種は凶暴で、ホオジロザメなど人を襲うものもある。臀びれの有無や鰓孔の数、歯の形態などによって分類される。暖・熱帯の海洋に多く分布。ふつう肉はかまぼこの材料に、ひれは乾燥して中華料理の材料に、皮は研磨用のやすりなどに利用。《 季語・冬 》 出雲風土記(733)嶋根「凡て北の海に捕るところの雑(くさぐさ)の物は、志毗、鮐(ふぐ)、沙魚(サめ)、烏賊」
② 「さめがわ(鮫皮)」の略。 太平記(14C後)三三「只今為立てたる鎧一縮に、鮫(サメ)懸けたる白太刀」
③ 「さめはだ(鮫肌)」の略。 雑俳・軽口頓作(1709)「うれにくい・またもどったがさめかいの」
[語誌]生命力が強く、凶暴な性質が畏怖されるところから、古来、霊的な存在と認められてきた。上代の文献に見えるワニは多く鮫を指したといわれる。現代日本語でも、方言で鮫をワニと称する地域(島根県・兵庫県但馬)がある。
広辞苑 名詞 ①( 狭目 (さめ)の意か)軟骨魚綱 板鰓類 (ばんさいるい)で、エイ目以外のものの総称。体は紡錘形で、骨格は軟骨。口は頭部の下面に横に開き、尾びれは刀状。皮膚は硬質の歯状鱗で被われ、左右の体側に五~七個ずつの鰓孔があり、歯は鋭い。多くは胎生。凶暴で、貪食、運動迅速なものが少なくない。温帯・熱帯の海に産。肉・ひれは食用に供し、また 蒲鉾 (かまぼこ)の材料とする。皮は乾かして物を磨くのに用い(さめやすり)、また刀剣の装飾用とする。→ (ふか) 出雲風土記「北の海に捕るところの(くさぐさ)の物は、 志毗 (しひ)(ふぐ)・―…」
鮫皮 (さめがわ)の略。 太平記33「―懸けたる白太刀」
大言海 名詞 狹目 (サメ)ノ義、さめの魚ト云フガ、成語ナリ、康賴本草、下 三十八 「鮫魚、左女乃宇袁」((サバ)モ、成語ハ、 狹齒 (サバ)の魚ナリ)東雅(新井白石)十九「鮫、さめ、古語ニ、さト云ヒシハ、狹也、小也、其眼ノ(スコ)シキナルヲ云フニ似タリ」倭訓栞、さめ「鮫魚ヲ云フ、云云、狹眼ノ義ナリ、體ヨリハ、眼ノ、至テ細ソキモノナリ」沖繩ニテ、さみ、山陰道ニテハ、鮫ヲ、 和爾 (ワニ)ト云フ、神代紀ニ、(ワニ)トアルハ、鮫ナルベシト云フ〕
海魚ノ名。體、延長ニシテ、圓筒狀ヲナシ、頭、スボル、大ナルモノハ、長サ丈餘ニ及ブ、鱗ナク、皮、厚ク、背、黑ク、腹、白シ、兩脇ノ鰭ハ、翅ノ如ク、背上ノ鰭ハ、鬣ノ如シ、口ハ、頷下ニアリ、眼、靑ク、(アギ)、五ツニ切レタリ、肉味、美ナラズ、かまぼこニ作ラル。鰭モ、食用トス、 鮫氷 (サメスガ)ノ條ヲ見ヨ。類中ニ、胎生ノモノアリ、 出入子 (デイリゴ)ノ條ヲ見ヨ。此魚ノ皮ニ、沙粒ノ如キモノ、附キテアリ、 鮫皮 (サメカハ)ト云フ、種種ノ用ヲナス、其條ヲ見ヨ。鮫ノ、更ニ大ニシテ、數丈ナルモノヲ、(フカ)トス。鮫ニ、猫ざめ、(ハタ)ざめ、蝶ざめ、撞木ざめ、(ウバ)ざめ、小判ざめ、星ざめ、ナド、種類、甚ダ、多シ、各條ニ註ス。
萬葉集、二 三十一 長歌「 名具鮫魚天 (ナグサメテ)」((ナグサ)メテ)
字鏡 七十一 「鮫、佐女」
本草和名、下 廿 「鮫魚、一名、鯊魚、佐女」(倭名抄、同ジ)
鮫・鯊

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最終更新:2024年09月16日 21:34