さら(盤・皿)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 平たく浅い器。食物を盛るのに用い、陶器、漆器、金属およびガラス製などがある。 令義解(718)職員「掌二筥陶器皿〈謂。器惣名為皿。其木土器亦皆掌〉事一」
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一三日「沈の懸盤、白銀の御さらなど」
皿・盤
② ①に盛って、饗膳(きょうぜん)などに出す肴(さかな)。 随筆・槐記‐享保一二年(1727)極月九日「皿 一塩の鯛、玉子付むしぬき」
③ 仏具の一つ。銅に錫(すず)・鉛を加えた合金で作る。盆のような形で、読経の時に打ち鳴らす。 日本書紀(720)持統三年七月「鍾、娑羅(サラ)、宝帳、香炉、幡の等き物を付け賜ふ」
④ 秤皿(はかりざら)。
⑤ 物を盛るもの。 浮世草子・人倫糸屑(1688)佞人「でるがさいご、幾世留の皿(サラ)にてひっしゃりとせらるるは、ふくまぬ人なし」
⑥ 人間の骨で、平たくて①に似た形のものを俗にいう。
(イ) 膝蓋骨(しつがいこつ)。
日葡辞書(1603‐04)「ヒザノ sara(サラ)」
(ロ) 頭蓋骨(ずがいこつ)の頂上の部分。 五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉二九「頭の顱骨(サラ)を打破った訳でもなければ」
⑦ 処女の女陰。 懺悔録(1632)「sara(サラ) モ ウチ ワラズ タダ イン ワ ホカ ニ モラシ マラシタ」
⑧ 漢字の脚(あし)の一つ。「盃」「盆」「盛」などの「皿」の部分をいう。この脚をもつ字の大部分は、字典で皿部に属する。 〔落葉集(1598)〕
広辞苑 名詞 ①食物を盛る平たく浅い器。陶磁器・漆器・金属製などがある。 源氏物語葵「御―どもなどいつの間にかし出でけむ」 皿・盤
饗膳 (きょうぜん)などに皿に盛って出す料理。 「―数をふやす」
③平たく皿に似た形のもの。 「ひざの―」「ペン―」
④漢字の(あし)の一つ。「盃」「盆」などの脚の「皿」の称。
大言海 名詞 (サラ) ()ノ語原ヲ見ヨ〕
(一){開キテ、淺キ器。陶製ナルアリ、 金屬 (カネ)製ナルアリ、漆塗モアリ、食物ヲ載セ、又、他ノ食器ノ(ダイ)トスルアリ。
仁賢紀、二年九月「皇太子、取瓜將喫、無刀子、夫人置刀子() 瓜盤 (ウリザラ)」(節文)
倭名抄、十六 十二 瓦器類「盤、佐良」
同卷漆器類「疊子、宇流之沼利乃佐良」酒臺子、志利佐良」(誤レリ、 後盤 (シリサラ)ニテ、杯臺ナリ、酒臺子ハ、酒瓶ノ臺ナリ)
伊勢物語、六十九段「盃ノさらニ、 續松 (ツイマツ)ノ炭シテ、歌ノ末ヲ書キツク」
齋院司式、齋王膳器「銀盤二口」
宇津保物語、吹上、上 三十一 男共 (ヲノコドモ)、集リテ、俎、立テテ、魚鳥、作ル、かねノさらニ、 北方 ()ノ御料トテ、盛ル」
紫式部日記「(ヂン) 懸盤 (カケバン)、しろかねノ御さら」
類聚雜要抄、一「靑瓷佐良」
江家次第、十、新嘗會裝束、裏書「以七寸朱漆盤、盛菓子
盤・皿
(二)後世ニ云フハ、專ラ、陶磁器ニテ、肴、菓子ナド盛ルニ用ヰル、大皿アリ、小皿アリ。 撮壤集(享德)中、家具「(サラ)
林逸節用集(分明)器財部「 小皿 (コザラ)
(三)膳部ノ 獻立 (コンダテ)ニ、皿ニ盛レル肴ノ稱。 槐記、享保十二年極月十日「御茶、皿、赤繪、柹、七ツ」
同、十四年二月廿六日、大德寺龍光院ヘ御渡「皿、コンニャク」
(四)秤ノ皿アリ、 (ハカリ)ノ條ヲ見ヨ。
(五)人體中ノ骨ノ、皿ヲ伏セタル如キ形シタルモノ。 博多小女郞波枕(享保、近松作)上「(カド)ノアル溝石デ、クサ(アタマ) 顱骨 (サラ)ガ、 粉微塵 (コナミヂン) 打破 (ウチワ)レタ」
「頭ノさら、カシラノカハラ」頭蓋骨
傾城島原蛙合戰(享保、近松作)二「下部ガ腰ボネ、膝ノ皿」
「膝ノさら、ヒザノカハラ」膝骨

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附箋:名詞 物品

最終更新:2024年09月22日 17:45