しく(敷・鋪・舗)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 一面に広く、むらなく行きわたる。 日本書紀(720)欽明一六年二月(寛文版訓)「聖王、妙(たへ)に天の道つ地の理(ことわり)を達(さと)て、名四表(よも)八方(やも)に流(シケ)り」
千載和歌集(1187)春上・八「霞しく春のしほ路を見渡せば緑を分くる沖つ白波〈藤原兼実〉」
敷・布・藉・鋪
他動詞 ① 上に物をのせるように平らにひろげる。
(イ) 物を平らにのべ広げる。
古事記(712)中・歌謡「葦原の 密(しけ)しき小屋(をや)に 菅畳(すがたたみ) いやさや斯岐(シキ)て 我が二人寝し」
万葉集(8C後)一七・三九六二「ぬばたまの 黒髪之吉(シキ)て いつしかと 嘆かすらむそ」
(ロ) その上にすわったり寝たりするために、平らに置く。敷物にする。 海道記(1223頃)蒲原より木瀬川「野に草敷てまたこぬ人を先にやる」
(ハ) 下におさえつける。 太平記(14C後)二〇「義貞弓手の足をしかれて、起あがらんとし給ふ処に」
日葡辞書(1603‐04)「クルマ、イシナドニ xicaruru(シカルル)〈訳〉車、石などに踏みつぶされる」
(ニ) 言いなりにさせる。 滑稽本・浮世床(1813‐23)二「亭主を尻に敷(シ)く浮虚的(うはきもの)の女房も」
② 物を一面に並べたり、配置したりする。
(イ) 一面に並べる。広く散らばす。
万葉集(8C後)一八・四〇五六「堀江には玉之可(シカ)ましを天皇(おほきみ)を御船漕がむとかねて知りせば」
(ロ) 配置する。また、敷設する。 「陣を敷く」
妹背貝(1889)〈巖谷小波〉春「然し此頃は此の辺にも鉄道が敷かれ」
③ 治める。領する。しる。 万葉集(8C後)一八・四一二二「天皇(すめろき)の 之伎(シキ)ます国の 天の下 四方の道には」
日葡辞書(1603‐04)「クニヲ xiqu(シク)」
④ 広く及ぼす。また、広く触れ示す。ひろめる。 大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)七「輪王の慈を以て法王の化を敷(シク)」
現代経済を考える(1973)〈伊東光晴〉II 「基礎的研究をもとに技術独占体制をしく」
⑤ 保証のために金銭を出す。
(イ) 持参金にする。敷銀(しきがね)とする。
浮世草子・昼夜用心記(1707)三「残る百両を敷て道場か医者か、兎角身楽なる方へかたづきたきねがひ」
(ロ) 家賃や地代の支払いを保証する。
⑥ 述べる。 谷川士清宛本居宣長書簡‐明和二年(1765)八月四日「聊以布鄙懐
広辞苑 他動詞 一面に物や力を広げてすみずみまで行きわたらせる意。
➊上に物がのるように、平らにひろげる。
①物を平らにのべひろげる。敷物にする。
竹取物語「松原に御(むしろ)―・きて下ろし奉る」。
「布団を―・く」
敷く・布く
②下におさえつける。 日葡辞書「クルマ、イシナドニシカルル」。
「強盗を組み―・く」
③おさえつけて、とやかく言わせない。頭のあがらないようにする。 狂言、鎌腹「常々身共を―・き居るに依つて」。
「亭主を尻に―・く」
➋何かの目的のために物を一面に並べる。
①一面に並べる。
万葉集6「あらかじめ君来まさむと知らませば門にやどにも珠―・かましを」。
「道に砂利を―・く」
②配置する。備えをする。 「背水の陣を―・く」
③設備をする。敷設する。 「鉄道を―・く」
➌(「領く」とも書く)
①あまねくおさめる。しる。しろす。
万葉集18「 天皇 (すめろき)の―・きます国」。
日葡辞書「クニヲシク」
②広く及ぼす。触れ示す。 徒然草「禹のゆきて三苗を征せしも(いくさ)をかへして徳を―・くにはしかざりき」。
「戒厳令を―・く」
➍持参金にする。また敷金とする。 浮世草子、昼夜用心記「残る百両を―・いて道場か医者か、とかく身楽なる方へかたづきたき願ひ」
自動詞 広くむらなく行きわたる。 欽明紀「名、 四表八方 (よもやも)()けり」。
式子内親王集「かみな月あらしは軒をはらひつつねやまで―・くは木の葉なりけり」。
「名声天下に―・く」「落葉散り―・く庭」
大言海 他動詞 (一)地ニ、延ブル。平ニ、ヒログル。 「席ヲしく」蒲團ヲしく」毛氈ヲしく」 敷・鋪・舖
(二){遍ク、及ボス。觸レ示ス。ヒロムル。 崇神紀、四年十月「世玄功、時(シク)( ヲ)
「命令ヲしく」
動詞活用表
未然形 しか ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 しき たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 しく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 しく も、かも、こと、とき
已然形 しけ ども
命令形 しけ

検索用附箋:自動詞四段 検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段 自動詞

最終更新:2024年10月06日 16:30