しひ(椎)

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日本国語大辞典 名詞 ブナ科シイノキ属の植物の総称。東アジア・東南アジアに約三〇種、北アメリカに一種あり、日本では関東以西にツブラジイ、およびその変種のスダジイが生える。常緑樹で、雄花穂が細長くて下垂せずに立ち、果実は全体が殻斗に包まれたどんぐり状果であることなどが特徴。しいのき。しいがし。 万葉集(8C後)二・一四二「家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕旅にしあれば椎(しひ)の葉に盛る」
[補注]「万葉集」以外で和歌によまれた例は少なく、歌語としては平安中期より、「しひしば(椎柴)」という形が定着した。樹皮を喪服の染料に用いたところから、哀傷歌で多くよまれた。→椎柴(しいしば)の袖(そで)
広辞苑 名詞 ブナ科の常緑高木。ツブラジイ(コジイ)とその変種スダジイ(イタジイ)がある。暖地、特に海岸付近に多く、うっそうとした大木になる。葉は革質で裏面は淡褐色。五~六月、香りの強い小花を雌雄別々の穂状花序につける。果実は先のとがった卵円形で、食用とし、特にツブラジイの実は美味。材は建築・器具に、樹皮は染料に用いる。また、椎茸栽培の原木とする。しいのき。「椎の花」は〈[季]夏〉。 古事記中「 後姿 (うしろで) 小楯 (おだて)ろかも、歯並みは―菱()す」
大言海 名詞 〔字ハ、實ノ尖リ、錐ニ似タレバ成レル、會意ナリ〕
シヒノキ。喬木ノ名、山中ニ多シ、葉ハ、(カシ)ニ似テ、狹ク長ク、薄ク(カタ)ク、面ハ深綠ニ、背ハ褐色ニシテ、光リ、冬、枯レズ、花ハ、葉ノ閒ニ生ズ、尾ノ狀ノ穗ニテ、淡黃ナリ、()ヲ、し()のみト云フ、樫ノ子ヨリ小サクシテ、外ニ粗皮アリテ、全ク包ム、樫ノ()ノ、椀ノ形ナルト、異ナリ、炒リテ食フ、味、佳シ。
神武紀「椎、此云辭毗
倭名抄、十七菓類「椎子、之比」
本草和名、下 三十三 「椎子、之比」
字鏡 四十八 「柞、櫟也、志比」
萬葉集、十四 廿四 遲速 (オソハヤ)モ、()ヲコソ待タメ、(ムカ)()ノ、 四比 (シヒ) 小枝 (コヤデ)ノ、アヒハ違ハジ」
同、二 廿二 「家ニアレバ、()ニ盛ル飯ヲ、草枕、旅ニシアレバ、椎ノ葉ニ盛ル」
集韻「椎、木名、似栗而小」

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附箋:名詞 植物

最終更新:2024年10月14日 18:26