しも(霜)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① 秋の末から冬にかけて寒い朝、地上や地上の物体を一面におおって白くみせる氷のこまかい結晶。大気中の水蒸気が、主として昇華によって地面や草木に白色の氷の結晶を生じたもの。晴天で無風に近い冬の夜など、気温が氷点以下に下がるとき生ずる。《 季語・冬 》 播磨風土記(715頃)賀毛・歌謡「愛(うつく)しき 小目(をめ)の小竹葉に 霰(あられ)降り 志毛(シモ)降るとも な枯れそね 小目の小竹葉」
② 白髪をたとえていう語。 万葉集(8C後)二・八九「居明かして君をば待たむぬばたまの吾が黒髪に霜(しも)はふるとも」
③ ( 「星霜(せいそう)」からか ) 年月のこと。 浄瑠璃・公平誕生記(1661頃)初「忝も八まんは、御ははしんぐうくはうぐうの、御はらにやどりて、三かんをほろぼし、三年三月のしもをへて、生れ給ふも仏也」
④ 薬種を黒焼きにして、粉にしたもの。 和名集并異名製剤記(1623)「土龍 とりう〈略〉五月にとって燔り乾す。又土用の内に取て、霜にしても用ゆ」
[語誌]( 1 )この語に下接する動詞に「ふる(降)」と「おく(置)」があり、「万葉集」にはともに見られる。一方、中国では、一年間を二十四節気に分けるが、その一つに、「霜降」がある。この「霜降」を訓読したものが「霜降る」と考えられるが、これは上代から現在まで歌に用いられている。これに対し、「霜置く」は日本古来の言い方。
( 2 )近世後期には「おる(下)」の下接する例が現われ、現在も「霜がおりる」が使われる。
広辞苑 名詞 ①多く晴天無風の夜、地表付近の気温が氷点下になって、空気中の水蒸気が地表や物に接触して昇華し、白色の氷片を形成したもの。古人は露の凍ったものと考え、また、草木を 凋落 (ちょうらく)させるものとした。〈[季]冬〉。 播磨風土記「(あられ)ふり―ふるとも」。
「―が降りる」
②(比喩的に)白髪 (しらが) 「頭に―をいただく」
大言海 名詞 〔萬物、(シボ)むノ意ナリト云フ、(シミ)ニ通ズ〕
(一)秋、冬、露ノ、凍リテ、白クナルモノ。
千字文「露結爲霜」
倭名抄、一風雪類「霜、之毛」
風俗歌、大鳥「大鳥ノ羽根ニ、之毛降レリ」
景行紀、十八年七月「朝志毛ノ、ミケノサヲ橋、 公卿 (マヘツギミ)、イ渡ラスモミケノサラ橋」
萬葉集、六 三十三 「橘ハ、實サヘ花サヘ、ソノ葉サヘ、(エダ)ニ霜(オケ)()、マシ常葉ノ樹」
古今集、五、秋、下「霜ノ(タテ)、露ノ(ヌキ)コソ、弱カラシ、山ノ錦ノ、織レバ且ツ散ル」
夫木抄、三十「鵲ノ、チガフル橋ノ、閒遠ニテ、隔ツル中ニ、霜ヤ降ルラム」
(二)白髮ヲ、譬ヘテ云フ語。 萬葉集、五長歌「(ミナ)(ワタ)、カ黑キ髮ニ、イツノ閒カ、斯毛ノ降リケム」
續後拾遺集、十七、雜、下「見ルモ憂シ、向フ鏡ノ、秋ノ影、𮕩ヘマサル、霜ノ(ヨモギ)ハ」
出觀集、春「雲雀アガル、ウララノカゲニ、窻アケテ、我ガ霜ノ髮、ココラ拔ケ 兒等 (コロ?)
夫木抄、十四「秋ノ色ノ、花ノ弟ト、聞キシカド、霜ノ翁ト、見ユル白菊」
「しもノ(カシラ)」頭ノしも」

検索用附箋:名詞天文

附箋:名詞 天文

最終更新:2024年10月20日 22:07