辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 |
( 副助詞「し」に係助詞「も」の重なったもの ) 文中の連用語を受けてそれを特示強調する副助詞として働く。この下にさらに重なる助詞は係助詞のみである。「も」助詞の意味により、わずかの差ながら用法を分つことができる。 (イ) 体言・体言と同資格の語句・活用語の連用形・助詞・副詞等を受け、受ける語句を特定強調する。 |
古事記(712)下・歌謡「下(し)づ枝の 枝の末葉(うらば)は〈略〉瑞玉盞(うき)に 浮きし脂 落ちなづさひ 水(みな)こをろ こをろに 是(こ)斯母(シモ) あやに畏し」 土左日記(935頃)承平五年一月四日「このかうやうに物もて来る人になほしもえあらで、いささけわざせさす」 |
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(ロ) 主として「必ずしも・ずしも・としも・にしも」等の形をとり、下に打消の語を伴って、部分否定の表現となる。下に打消を伴う場合の多くはこの用法である。→補注。 |
続日本紀‐天平宝字八年(764)一〇月一四日・宣命「人の能(よ)けむと念ひて定むるも、必ず能(よ)く
之毛(シモ)
あらず」 徒然草(1331頃)五八「道心あらば、住む所にしもよらじ」 |
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(ハ) 「しも(こそ)あれ」の形で、強調表現となる。「時しもあれ」「折しもあれ」が最も多く、「折も折」「(他に)時もあろうに」等の意を表わす。中古に現われた用法。 |
古今和歌集(905‐914)哀傷・八三九「時しもあれ秋やは人のわかるべきあるを見るだに恋しき物を〈壬生忠岑〉」 源氏物語(1001‐14頃)総角「事しもこそあれ。うたて、あやしと思(おぼ)せば物もの給はず」 |
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[補注]「にしも…ず」の形をとりながら、部分否定でなく、単なる強調の用法もある。「梁塵秘抄‐二」の「甲斐の国より罷り出でて、信濃の御坂をくれくれと、遙々と、鳥の子にしもあらねども、産毛も変はらで帰れとや」や「徒然草‐一〇四」の「俄にしもあらぬ匂ひ」など。 | ||||
広辞苑 | 助詞 | (強めの助詞「し」に、感動の助詞「も」の付いた語)強意を表す。 |
万葉集18「とことへにかく―あらめや」。 「誰―同じ」「なきに―あらず」 |
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大言海 | 天爾遠波 |
〔しハ、意ヲ強ムル辭、もハ、咏嘆ノ辭〕 力ヲ入レテ云フ辭。ソレ、マア。 |
催馬樂、紀伊國「風 伊勢物語、第九段「京ニ、思フ人、無キニしもアラズ、サル折リしも、云云」 古今集、十六、哀傷「時しもアレ、秋ヤハ人ノ、別ルベキ」 「必ズしも然ラズ」 |
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