ずは

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日本国語大辞典 ( 打消の助動詞「ず」の連用形に係助詞「は」の付いたもの。現在では「ずわ」と読んでいる )
① 上代の語法で、連用修飾または連用中止法の「ず」に「は」が付いて強調、提示の役割を果たす。…ずに。…ないで。
古事記(712)中・歌謡「いざ吾君(あぎ) 振熊が 痛手負は受波(ズハ) 鳰鳥の 淡海の海に 潜きせなわ」
万葉集(8C後)五・八六四「後れ居て汝が恋せ殊波(ズハ)御園生の梅の花にもならましものを」
② 順接の仮定条件を表わす。…なくては。…ないならば。 万葉集(8C後)二〇・四四〇八「あらたまの 年の緒長く あひみ受波(ズハ) 恋しくあるべし」
史記抄(1477)一一「母が死たれども卿相にならずわかへるまいと盟たほどに」
[語誌]( 1 )①の解は、橋本進吉の説による。
( 2 )①②ともに「は」はもと清音で後にワに転じたものと認められる。近世の口語では、②の場合、ズワはさらにザア・ザに転じている。また、近世の文語では「ずは」がズバと読まれた例が見られる。富士谷成章は「あゆひ抄(稿本)」で「あらましの内すはなくはなどは半濁也」といって、ズワと読むべきことをわざわざ注意しており、本居宣長は「詞の玉緒」ではズバとしている。→ずんば
( 3 )「ずは」の「は」は係助詞の「は」であって、後に動詞を受ける接続助詞「ば」に混同されたものと考えられる。ただし、この清音の「は」を係助詞と見ず、「は」という接続助詞があったと考える説もある。
( 4 )「古今‐春上」の「今日来ずは明日は雪とぞ散りなまし消えずはありとも花と見ましや〈在原業平〉」の「消えずはありとも」は「消えずとも」を係助詞「は」で強調した例で、①②の場合とは異なる。
広辞苑 (打消の助動詞ズの連用形に係助詞ハの付いたもの。近世、誤ってズバと発音)
①打消の意をハで特に提示する。…ないで。…あらずして。
万葉集20「立ちしなふ君が姿を忘れ―世の限りにや恋ひ渡りなむ」
②仮定順接条件を表す。もし…でないならば。 万葉集20「あらたまの年の緒長く相ひ見―恋しくあるべし」。
狂言、 止動方角 (しどうほうがく)「行か―成るまい」
大言海 天爾遠波 物事ヲ、云云、せず()ノ意ノ語。 神功稱制前紀、長歌「 頭槌 (クブツチ)ノ、痛手負ハ 孺破 (ズハ)、鳰鳥ノ、(カヅキ)セナ」(負ハムヨリハ、入水セムヲ欲ス) 不者

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最終更新:2024年11月30日 15:35