せめ(責)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ( 動詞「せめる(責)」の連用形の名詞化 )
① 責めること。苦しめること。とがめ。呵責(かしゃく)。
源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋「御志深かりける御中を背(そむ)きて、あやしき山賤(やまがつ)の中に出家し給へる事、かへりては仏のせめ添ふべき事なるをなん承り驚き侍る」
太平記(14C後)三七「或は父兄の道を違へ、或は主従の義を背(そむ)く故(ゆゑ)に天の譴(セメ)あるに非(あら)ずや」
② 負債。また、負い目。 大智度論平安初期点(850頃か)「責(セメ)を負へるとき、責主之(これ)を索めば、当(まさ)に歓喜すべし」
③ 責任。 日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉六「何ぞ必ずしも責を一二執政者の過失に帰すべけんや」
④ 拷問。 平家物語(13C前)二「井にふたをし、火に水をかけ、水火のせめにおよぶ」
談義本・根無草(1763‐69)前「剣の山の責(セメ)一等を許彼が好む処の釜いりに仕らん」
⑤ 日本音楽および日本舞踊などで、終曲に近く、高声に急調子になる部分。責念仏などと用いる。 名語記(1275)六「舞のをはりのせめ、如何」
⑥ 能狂言の型の一つ。閻魔(えんま)大王やその手下の鬼が、亡者を責めて追いたてる動作を表現したもの。笛・大小の鼓(つづみ)・太鼓の囃子(はやし)がつく。 虎明本狂言・朝比奈(室町末‐近世初)「『いかにざい人、いそげとこそ』せめ一だん」
⑦ 篳篥(ひちりき)・刀のさや・扇子・からかさなどの端からはめて留めて置くたがのような輪。 十操記(870‐924頃)「喘者吹出吹終責音、不拍子指使
⑧ 笛の吹き方の一つ。強く吹いて、高い澄んだ音を出すこと。
⑨ 浪曲で、けんか・火事などの緊迫した情景の描写に用いる節。
広辞苑 名詞 ①(罪やあやまちを)責めること。責め苦しめること。とがめ。せっかん。 源氏物語夢浮橋「かへりては仏の―添ふべきことなるを」。
日葡辞書「ヒトニセメヲアタユル」
責め
②自分がひきうけねばならないこと。責任。 「―を果たす」
③声を高い調子に上げること。 義経記6「水干の袖をはづして―をぞ打ちたりける」
(しょう)、太刀の(さや)、扇などの端からはめて締めつける用をなす金具の輪。責金。 責鞐 (せめこはぜ)
大言海 名詞 (一){()ムルコト。クルシメ。折檻。呵責 源、五十三、夢浮橋 十四 「御志深カリケル御中ヲ背キ給ヒテ、(アヤ)シキ山賤ノ中ニ、 出家 (スケ)シ給ヘルコト、却リテハ、佛ノせめ添フベキ事ナルヲナン、承リ驚キ侍リ」
「火水ノせめ」地獄ノせめ」
(二)身ニ請負ヒテ、逃レラレヌコト。引キ受ケネバナラヌコト。責任 「輔弼ノせめ」其せめニ任ズ」
(三)スベテ、()ノ形シテ、(タガ)ノ用ヲナシ、器ノ細ソキ端ヨリ()メテ、太キ方ヘ送リ、()メツケ置ク用トスルモノ。シメ。(笙ニ、太刀ノ鞘ニ、扇子ニ、帆柱ニ)

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最終更新:2024年12月08日 19:33