辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 助詞 |
〘接助〙活用語の已然形を承けて逆接の条件を表わす。ただし形容詞を承ける場合、上代では已然形「けれ」「しけれ」の形が未発達であったため、上代特有の已然形「け」「しけ」の形を承ける。 ① 逆接の確定条件を表わす。…けれども。 |
※古事記(712)上・歌謡「赤玉は 緒さへ光れ杼(ド) 白玉の 君がよそひし 貴くありけり」 ※万葉(8C後)一五・三七二八「あをによし奈良の大路は行きよけ杼(ド)この山道は行き悪しかりけり」 |
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② 条件に対して、常にそれと背反する一定の結果を生ずることを表わす。いかに…しても。…の場合でも。 |
※万葉(8C後)二・一〇六「二人行け杼(ド)行き過ぎかたき秋山をいかにか君がひとり越ゆらむ」 ※源氏(1001‐14頃)若紫「よからねどむげに書かぬこそわろけれ」 |
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[語誌](1)語源については、文献以前の時代に推量を表わす鼻音的要素が、助詞「と」と融合し「ど」となったとする説(吉田金彦)がある。 (2)上代には、確定条件逆接の意味は活用語の已然形だけでも表わせたが、逆接の意味を補強するため助詞「ど」「ども」が用いられた。 (3)上代、散文においては「ども」にくらべて用例が少ないが、「万葉集」ではほとんど同様に用いられた。中古の女流作品では「ど」が圧倒的に多用されたのに対し、漢文訓読文では「ども」をもっぱら用いるという著しい傾向がある。この傾向は中世初期まで続くが、しだいに「ど」は用いられなくなり、中世末期に至ると日常語からはほとんど消えて、文語化したらしい。 (4)①の挙例の「万葉‐三七二八」のように、条件と帰結との間に因果関係がない場合がある。しかし、この場合も都会の道と山の道というような対立の認識は存在する。 |
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広辞苑 | 助詞 |
(接続助詞)活用語の已然形に付き、逆接の既定条件を示す。(平安時代には歌や和文脈で多用され、室町時代には文語化した) ①既に生じた事態を示し、後に続く事態がそれに反する関係にあることを示す。…けれど。 |
古事記下「 土佐日記「唐とこの国とはことことなるものなれ―月の影は同じことなるべければ」 |
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②経験に基づき、ある事態があっても、後に続く事態がそれに反する関係にあることを示す。たとい…ても。…する場合でも。 |
万葉集2「二人行け―行き過ぎがたき秋山をいかにか君が独り越ゆらむ」。 徒然草「その子孫までは、はふれにたれ―なほなまめかし」 |
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大言海 | 天爾遠波 | ども(雖)ニ同ジ。其條ヲ見ヨ。 | 古今集、十九、誹諧歌「山吹ノ、花色衣、ヌシヤタレ、問ヘ 答ヘズ、クチナシニシテ」 |
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