そば(蕎麦)

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日本国語大辞典 名詞 ① ( 「そばむぎ(蕎麦)」の略。「そば」は「峙(そばだ)つ」「聳(そび)える」と同源で「稜角を持つもの」の意 ) タデ科の一年草。中央アジア原産でシベリア・東アジア・インドで穀物として広く栽培されている。茎は中空で赤みを帯び直立して高さ四〇~九〇センチメートルになる。葉は心臓状三角形で葉柄の基部は鞘(さや)となって茎を包む。夏または秋に、茎の先や葉腋(ようえき)からでる花柄の上部に白または淡紅色の小花が総状に密集してつく。花は花弁がなく萼(がく)が花弁状に五深裂している。果実は卵形でするどい三稜(りょう)があり緑白色、乾くと黒褐色となる。果中の胚乳(はいにゅう)からそば粉を製する。ソバの名は稜(そば)のある麦(むぎ)を意味する古名ソバムギに由来する。漢名、蕎麦。くろむぎ。 〔文明本節用集(室町中)〕
俳諧・続猿蓑(1698)秋「蕎麦はまだ花でもてなす山路かな〈芭蕉〉」
蕎麦
② そば粉を水でこねて薄くのばし、細く切った食品。ゆでて汁につけたり、また、煮込んだりして食べる。そばきり 〔大上臈御名之事(16C前か)〕
滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)初「そばのふといのをあがりゃアせ」
③ 朝鮮茶碗の一種。平茶碗で、白めのやや荒い素地に失透気味の釉(うわぐすり)がかかっている。高台は低く、大振り。名の由来は井戸の側から出たという意味からとも、地肌の色合いが蕎麦に以ているからともいう。茶人の好む茶碗の一つ。
④ ( 「夜鷹そば」から ) 夜鷹。私娼。 雑俳・柳多留‐五六(1811)「まんぢうは蕎麦に八文高くうり」
⑤ ( ②が一杯一六文であったところから ) 数の一六をいう。 洒落本・苦界船乗合咄(1867)中「年は蕎麦(〈注〉十六)の年で」
[語誌]( 1 )「続日本紀‐養老六年七月一九日」に「蕎麦」と見えるが、和訓は、「本草和名」に「曾波牟岐(ソバムキ)」、「二十巻本和名抄‐一七」に「久呂無木(クロムキ)」とある。ソバムギは実の形状から、クロムギは実の色からいう。
( 2 )中世にはムギが省略されたソバの語形が現われる。
( 3 )現在のように麺にして食するようになるのは、中世後期と考えられ、ソバキリとも呼んだ。
広辞苑 名詞 ①(古名「そばむぎ」の略)タデ科の一年生作物。原産地は東アジア北部とされ、中国・朝鮮から日本に渡来。ロシアに多く栽培。多くの品種があり夏ソバ・秋ソバに大別。茎は赤みを帯び、花は白。収穫までの期間が短く、荒地にもよく育つ。果実の胚乳で蕎麦粉を製する。「蕎麦の花」は〈[季]秋〉。 著聞集12「ぬす人は…―を取りてぞはしりさりぬる」 蕎麦
②(「そばきり」の略)蕎麦粉・小麦粉にヤマイモ・卵白などを入れ、こねて細く線状に切った食品。ゆでて、つゆをかけ、またはつゆに浸して食べる。
大言海 名詞 稜麥 (ソバムギ)ノ略〕
(一)古名、ソバムギ。クロムギ。草。夏、種ヲ下ス、莖ノ高サ一二尺、圓クシテ、赤ク光ル、葉、互生シ、あかざニ似テ、短ク薄クシテ光滑ナリ、秋、莖ノ梢ニ、白花、簇リ生ズ、實、三稜ニシテ、皮、黑ク、()、白シ、()キテ粉トシ、多ク、そばきり、そばがきトシテ、食フ。
著聞集、十二、偸盜「畠ニ、そばヲ植ヱテ侍リケルヲ」 蕎麦
(二)そばきりノ略。 下學集、下、草木門「 蕎麥 (ソバ)
「そばヲ食フ」

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附箋:名詞 植物

最終更新:2024年12月28日 18:06