そふ(添(自動詞イ))

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ( あるものに対して、新しく別のものがつけ加わる、の意 )
① つけ加わる。増して、多くなる。
宇津保物語(970‐999頃)俊蔭「木のうつほをすみかとして、生ひいでたれど、めもあやなる光そひてなむありける」
源氏物語(1001‐14頃)薄雲「御位そひて牛車(うしぐるま)ゆるされて参りまかでし給ふを」
尋常小学読本(1887)〈文部省〉四「いつしかとしのかずそひて」
添・副・沿・傍
② 主なるものに寄り添う。そば近くにいる。付き添う。つきまとう。 万葉集(8C後)一四・三四八五「劔大刀身に素布(ソフ)妹をとり見がね音をそ泣きつる手児にあらなくに」
太平記(14C後)一一「貞俊も阿波の国へ流されて有しかば、今は召仕ふ若党、中間も身に傍(ソハ)ず」
③ 連なるものなどの形のままにつき従う。そのそばに並ぶ。 催馬楽(7C後‐8C)大路「大路に 曾比(ソヒ)てのぼれる 青柳が花や」
大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)四「此従り東南に出て、三摩怛吒国に至る。近き大海に浜(ソヒ)、気序和暢なり」
④ かなうようにする。希望や目的にかなう。 鬼剥げ(1954)〈島尾敏雄〉「だが結局は人の眼には期待に沿わないで、じらしてやろうとする気持が強く、ふみとどまって」
⑤ 男女が、夫婦になる。結婚して、いっしょに暮らす。連れ添う。 大和物語(947‐957頃)一五七「もとのごとくあからめもせで、そひゐにける」
二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「彼(あの)人ならば添(ソ)って見たいといふお鉄の所思(おもはく)で」
広辞苑 自動詞 線条的なもの、または線条的に移動するものに、近い距離を保って離れずにいる意。
①側近く寄る。ぴったりとついている。
万葉集11「埴生の小屋に小雨ふり床さへぬれぬ身に―・へわぎも」。
宇津保物語吹上上「樺桜一(なみ)なみ立ちたり。それに―・ひて紅梅なみ立ちたり。それに―・ひてつつじの木ども北になみ立ちて」。
枕草子180「 立蔀 (たてじとみ)の間に陰に―・ひて立ちて」。
「川に―・った道」「影が形に―・う」
沿ふ・添ふ・副ふ
②基準となるものから離れないようにする。 「規定方針に―・って行う」
かなう。適応する。 「御期待に―・うよう努力します」
④あるが上に加わる。つけ加わる。 源氏物語葵「御息所は物をおぼし乱るること、年頃よりも多く―・ひにけり」
⑤つきそう。同伴する。 源氏物語賢木「親―・ひてくだり給ふ例も殊になけれど」
⑥夫婦として共に居る。つれそう。 万葉集11「身に―・ふ妹し思ひけらしも」。
狂言、猿座頭「身共が所へ連れていて、千年も万年も―・はうぞ」。
「―・われぬ縁をなげく」
⑦交わる。交際する。 日葡辞書「ヒトニハソウテミヨ、ウマニハノッテミヨトイウ」「ソイヨイヒト」
大言海 自動詞 (ソバ)ノそヲ活用セシム〕
(一)其上ニ、附ク。加ハル。添ハル。添加
後撰集、十八、雜、四「世ノ中ハ、イサトモイサヤ、風ノ音ハ、秋ニ秋そふ、心地コソスレ」
新千載集、廿、雜、中「和歌ノ浦ノ、波ニ思ハヌ、心ヨリ、そふベキ玉ノ、光ヲゾ見ル」
源、一、桐壺 廿七 「美シゲサ、そひ給ヘリ」
「數そふ」色そふ」
(二)附キ從フ。()ルル。 萬葉集、十四 廿三 「劒太刀、身ニ 素布 (ソフ)妹ヲ」
源、一、桐壺 十五 「カク忌忌シキ身ノ、そひ奉ランモ、イト、人聞憂カルベシ」(源氏君ニ、桐壺更衣ノ母君ノ)
同、四、夕顏 廿五 「ツト、御カタハラニそひ暮ラシテ」
「親ニそふ」君ニそふ」
(三)相、竝ビ(タグ)フ。(夫婦ナドニ)ツレソフ。 古事記、中(應神) 七十一 長歌「()ガ見シ子ニ、云云、向ヒ居ルカモ、伊蘇比居ルカモ」(伊ハ、發語)
同、中(孝靈) 十八 「二柱、相副ひテ」
(四)因ル。傳ハル。沿 宇津保物語、吹上、上「ソノ海面ニ、岸ニそひテ、大イナル松ニ、藤カカリテ」
「山ニそふ」
動詞活用表
未然形 そは ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 そひ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 そふ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 そふ も、かも、こと、とき
已然形 そへ ども
命令形 そへ

検索用附箋:自動詞四段

附箋:四段 自動詞

最終更新:2024年12月29日 16:18