たか(鷹)

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日本国語大辞典 名詞 ① タカ目に属する鳥のうち小形種の総称。大形種をワシというが厳密な区別はない。ワシと比較して一般に、翼と尾の幅が狭く、翼の先端がとがる。くちばしは鋭く曲がり、あしには大きなかぎ爪をもつ。昼行性の猛禽で、鳥獣、時にその他の動物を捕食する。ふつう樹上・絶壁に巣をつくるが、チュウヒ類は地上や水草上に営む。クマタカ・チュウヒ・ノスリ・ツミなど、日本には約二〇種が知られている。古来、姿に威厳のある鳥とされ、また、鷹狩に用いられた。羽は矢羽にするが、鷹で作った矢羽は最上とされる。《 季語・冬 》 万葉集(8C後)一九・四一五四「鳥座(とぐら)結ひ 据ゑてそ我が飼ふ 真白斑の多可(タカ)」
蜻蛉日記(974頃)中「しすゑたるたかをにぎりはなちつ」
② 「たかがり(鷹狩)」の略。 源氏物語(1001‐14頃)行幸「親王(みこ)たち上達部などもたかにかかづらひ給へるは、珍らしき狩の御装(よそひ)どもを設け給ふ」
③ 能面の一つ。怨霊を表わす男面「怪士(あやかし)」を使う曲、「船弁慶(ふなべんけい)」などで、より力強く演出する場合とか、神体などを表わす曲、「高砂(たかさご)」「弓八幡(ゆみやわた)」に用いる。目は三角状に切れ、鷹のように鋭い表情なので、この名称があるといわれる。
④ 江戸時代、道ばたで客をひいた下級の街娼。夜鷹。 俳諧・若みどり(1691)「辻女(タカ)買が父の心の夜の鶴」
⑤ 「たかのつめ(鷹爪)①」の略。 雑俳・柳多留‐五一(1811)「宵に鷹飲んで雀の声を聞き」
広辞苑 名詞 ①タカ目の鳥のうち、小・中形の一群の総称。大形のものはワシという。色彩は主に暗褐色を呈する。(くちばし)は強くて鋭く曲がり、脚には強い大きな鉤爪があって、小形の鳥獣などを襲って食う。姿に威厳があり、古来尊重され、また鷹狩に使った。なお、タカ目(旧称ワシタカ目)はタカ科・ハヤブサ科・コンドル科などを含み、世界に約二九〇種、日本に二二種が分布。古称、くち。ならしばどり。かしこどり。〈[季]冬〉。 万葉集19「我が飼ふ 真白斑 (ましらふ)の―」
②能面。 怪士 (あやかし)の一種で、鷹のような目つきの、妖気のある男面。
大言海 名詞 〔高つ鳥(島つ鳥、野つ鳥)ナドノ義ニテ、高ク飛ビアガル意ノ名カ。古事記、下(仁德)「高行クヤ(ハヤブサ)」或ハ(タケ)き意カ、或ハ云フ、() 飼鳥 (カヒドリ)ノ意カ。鷹飼部アリ〕
(一)鷙鳥ノ名。養ヒテ狩ニ用ヰル。其逸物ハ雌ナリ、性、猛クシテ、且、食ヲ貪ルガ故ニ、鳥ヲ捕ヘシムルニ最モ()シトス。頭扁ク、頂ニ微角アリ、眼、圓ク大キク銳ク、金色ニシテ(カド)アリ、觜、曲リテ利ク、脚、剛クシテ黃ニ、爪、堅ク銳シ。背、蒼白ニシテ、胸、白ク、黑斑或ハ赤斑アリ、尾ニ、黑白ノ重文アリ。古ヘ、百濟語ヲ傳ヘテ、 俱知 (クチ)トモ云ヒキ。一歲ナルヲわか鷹ト云フ。黃鷹
二歲ナルヲかたか()りト云フ。(胸ノ斑、橫サマニカハル)撫鷹
三歲ナルヲもろが()りト云フ。(斑、(コマカ)ニカハル)靑鷹
羽ノ白キハ、雌雄共ニしらたか(白鷹)ト云フ。蒼鷹
(二)鷹狩ノ略。雌ハ形大ナリ、おほたか(大鷹)又、だい(大)ト云ヒ、雄ハ小サシ、せう(小ノ音、兄鷹ト書ク)ト云フ。(以上、倭名抄、袖中抄、字類抄、林逸節用集)クマタカ、ハシタカ(雌)、コノリ(雄)、ツミ(雌)、スズミタカ、ノセ、ハヤブサ、エッサイ(雄)ナドアリ。各條ヲ見ヨ。 梁塵愚案抄、下「催馬樂、鷹子ハ、マロニタウバラン、手ニスヱテ、粟津ノミクルスノ、メグリノ鶉、トラサンヤ、サキンダチヤ」
源、一、桐壺 廿九 「ヒダリノツカサノ御馬藏人所ノ鷹スヱテ賜リ給フ」
金葉集、九、雜、上「ノキバウツ、マシロノ鷹ノ、ヱ袋ニ、ヲキヱモササデ、カヘシツルカナ」
(三)紙鳶 (イカノボリ)ノ異名。(信越)

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最終更新:2025年01月19日 13:40