たく(長)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 十分にその状態になる。
(イ) 日が高く昇り、日盛りになる。
源氏物語(1001‐14頃)夕顔「日たくるほどに、起き給ひて格子手づから上げ給ふ」 長・闌
(ロ) 季節の盛りになる。 太平記(14C後)二七「時(ときしも)あれ秋暮、時雨がちなる冬闌(タケ)ぬ」
(ハ) 年齢が長じる。年頃になる。 浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)燈籠「年たくる迄母うへの御ねまちかくおきふして」
② 盛りの状態、時期を過ぎる。
(イ) 日・月などが傾く。
古今和歌集(905‐914)物名・四五二「さ夜ふけてなかばたけゆく久方の月ふきかへせ秋の山かぜ〈景式王〉」
(ロ) 季節が、その盛りを過ぎる。その季節が終わりに近づく。 和漢朗詠集(1018頃)下「春過ぎ夏闌(たけ)んたり 袁司徒が家の雪路達しぬらむ〈菅原文時〉」
仮名草子・伊曾保物語(1639頃)下「去程に、春過夏たけ、秋も深くて、冬のころにもなりしかば」
(ハ) 老齢になる。年をとる。また、植物などが成長しすぎる。 新古今和歌集(1205)羇旅・九八七「年たけて又こゆべしと思ひきやいのちなりけりさ夜の中山〈西行〉」
③ ある方向に長じる。熟達する。十分身につける。 金刀比羅本保元(1220頃か)上「嫡子にて候義朝こそ、坂東そだちのものにて、武勇のみちにたけて候へ」
日葡辞書(1603‐04)「ガクモンノ taqeta(タケタ) ヒト」
広辞苑 自動詞 (「たか(高)」「たけ(丈)」と同源)
①高くなる。
千載和歌集釈教「朝露を日―・けて見れば跡もなし」 長く・闌く
②真っ盛りになる。たけなわになる。 「春が―・ける」
③盛りが過ぎる。熟し切って末に近づく。 古今和歌集物名「さよふけてなかば―・けゆくひさかたの月吹きかへせ秋の山風」。
天草本伊曾保物語「されど年―・けた人々はまづイソボに談合して」
④ある方面に長ずる。円熟する。熟達する。 徒然草「西大寺の静然上人、腰かがまり眉白く、まことに徳―・けたる有さまにて」。
世故 (せこ)に―・ける」「心理描写に―・けている」
大言海 自動詞 (タカ)ノ活用、(フカ)ノふくるノ類〕
(一)高クナル。(チヤウ)ズ。十分ニ延ブ。
字鏡、 八十一 「卓、日高也、日太介奴」
山家集、上「たけノボル、朝日ノ影ノ、サスママニ、都ノ雪ハ、消エミ消エズミ」
夫木抄、四「春たけテ、紀ノ川白ク、ナガルメリ、ヨシノノ奧ニ、花ヤチルラム」
永久四年百首、賀「我ガ君ノ、齡たけタル、ウレシサハ、大宮人ノ、身ニアマルラム」
「日長く」()長く」智長く」德たく」
(二){事ノ至リ極マル。盛リ過グ。(タケナハ)ニナル。 字類抄「闌、タク、タケヌ」
萬葉集、十 五十五 「朝露ニ、咲キスサビタル、 鴨頭 (ツキ)(クサ)ノ、 日斜 (ヒタク)るナベニ、消ヌベクオモホユ」
常陸風土記、新治郡「許智 多藝 (タケ)バ、ヲバツセ山ノ、イハキニモ、ヰテ籠ラナム、ナ戀ヒソワギモ」
古今集、十、物名「サ夜フケテ、半たけユク、久方ノ、月フキカヘセ、秋ノ山風」
「更たく」年たく」
動詞活用表
未然形 たけ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 たけ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 たく べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 たくる も、かも、こと、とき
已然形 たくれ ども
命令形 たけよ

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附箋:下二段 自動詞

最終更新:2025年01月19日 16:29