辞書 | 品詞 | 解説 | 例文 | 漢字 |
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日本国語大辞典 | 名詞 | ① イネ科植物のうち、大形の稈(かん)を持つものの総称。高さ一メートルから数十メートルに達するものもあるが、数か月で第一次生長を完了すると、それ以後は大きくならない。茎は木質化し、中空で節が多い。地下茎は横にはい、各節に地下茎か、または、稈を生じる単軸型のものと、地下茎の上方から稈と地下茎を同時につける連軸型の二型がある。前者は日本産のものに多いまばらな林となり、後者は熱帯に見られる密な株立ちとなる。地上茎は節からよく分枝する。葉は短柄を持ち先のとがった広線形または狭長楕円形、葉鞘(ようしょう)との間に明瞭な節がある。葉鞘は細長い筒状で小枝を巻く。花は黄緑色で稲穂状。通常一稔性で、開花までに数十年を要し、花後、一連の地下茎に連なる稈はすべて枯死する。材は弾力性に富み割裂しやすい特性があり、建築・工芸・楽器など種々の用途に広く使われる。また、モウソウチクを始めとして、ほとんどの幼い芽は筍(たけのこ)として食用にされる。主として熱帯・亜熱帯に生え、河川の護岸林や観賞用として栽植されることも多い。 |
古事記(712)中・歌謡「多気(タケ)の根の根垂る宮」 竹取物語(9C末‐10C初)「野山にまじりて竹をとりつつ、万の事につかひけり」 |
竹 |
② 筍をいう女房詞。 | 御湯殿上日記‐文明一〇年(1478)三月二一日「むろまち殿よりたけはしめてまいる」 | |||
③ 笙・笛・尺八など、①を使った管楽器。弦楽器を糸というのに対する。竹管。 |
散木奇歌集(1128頃)悲歎「くり返しいとと竹とも心あらばうかりし節をとはまし物を」 御伽草子・御曹子島渡(室町末)「たけをならしてきかせん」 |
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④ 紋所の名。竹に雀、三つ竹輪違いなど。 | ||||
⑤ 近世、下女の名前として小説などにしばしば使われた語。転じて、下女をいう俗語。 | 浮世草子・好色床談義(1689)二「下女はしたといふものは、〈略〉家ごとにかわれども、大かた名は、ふじ、すぎ、たけ、これらなるべし」 | |||
[語誌]( 1 )ふつう、竹の皮が筍の成長に従って下部から順に落ちるものをタケといい、稈(かん)の成長後も落ちないものをササというが、学術的な規定ではない。なお、今日広く見られるモウソウチクは一八世紀になって中国から移植されたもので、それ以前の日本の竹はマダケ、ハチクなどの類が多かったという。 ( 2 )古代には祭祀用の呪的なものとしても用いられ、神話の世界で、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が黄泉(よみ)の国から逃れる時に櫛を投げると筍が生えて黄泉醜女(よもつしこめ)の追及を逃れたとか、天岩戸に隠れた天照大御神を誘い出すために天鈿女命(あまのうずめのみこと)が踊った折、香具山の小竹(ささ)の葉を手にしていたとかいわれる。「万葉集」の歌でも祭祀の折に竹玉を手に巻くという表現もあり、後世、正月の門松や七夕の飾りにも使われている。また、呪的なものから装飾や鑑賞の対象ともなってくる。中国でも松竹梅や梅菊蘭竹がもてはやされ、日本にも移入されるようになった。 ( 3 )古くから「さすたけの」「なゆたけの」などの形で枕詞にも用いられた。中古の歌では「節(よ・ふし)」と掛詞にして共に用いられることが多く、俳諧の世界では「竹の春」「竹の秋」「竹植う」のように、季語として用いられることが多い。散文でも竹取翁の伝誦を生む一方、竹や竹の林に目を向けた記述も多い。 |
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広辞苑 | 名詞 |
①イネ科タケ亜科の多年生常緑大本の総称。タケ群とササ群に大別。また、独立のタケ科とする場合もある。茎は木質化、隆起した節があり、地上茎・地下茎に分かれる。地上茎は直立し、多くは中空で、地下茎は節部から根および地上茎( |
万葉集5「わが園の―の林に鶯鳴くも」 | 竹 |
②竹製の管楽器である尺八の俗称。 | ||||
③紋所の名。基本は笹紋と同じで、竹の茎に多少の葉を取り合わせて「竹の丸」、雀をあしらって「竹に雀」などとする。 | ||||
④(女房詞)たけのこ。 | ||||
大言海 | 名詞 |
〔 植物ノ名。 |
倭名抄、廿
廿四
竹類「竹、多計」 古事記、下(雄略) 三十一 「イクミたけ」 |
竹 |
検索用附箋:名詞植物