たつ(絶・断・裁)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 物を切り離す。つながっているものを断ち切る。切断する。 万葉集(8C後)二〇・四四二九「厩なる縄多都(タツ)駒の後(おく)るがへ妹が言ひしを置きてかなしも」
日葡辞書(1603‐04)「ノヲ、または、ヤノヲ tatçu(タツ)」
絶・断・截・裁
② ( 裁 ) 衣服にするために布を切る。 常陸風土記(717‐724頃)久慈「服(はたもの)は、自ら衣裳と成りて、更に裁(た)ち縫ふこと無く」
③ つながりを切って関係をなくする。縁を切る。交際をやめる。 蜻蛉日記(974頃)中「しも月もおなじごとにて、廿日になりにければ、今日見えたりし人、そのままに廿よ日あとをたちたり」
源氏物語(1001‐14頃)手習「流転三界中などいふにも、たち果ててしものをと思ひ出づるも」
④ 続けていたことをやめる。また、特定のものを飲食することをやめる。 竹取物語(9C末‐10C初)「五こくをたちて千余日に力をつくしたる事すくなからず」
大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「二十年の秋七月に筆を絶(タツ)」
⑤ 終わらせる。滅ぼす。 万葉集(8C後)二〇・四四六五「おぼろかに 心思ひて 虚言(むなこと)も 祖(おや)の名多都(タツ)な 大伴の 氏と名に負へる ますらをの伴」
日葡辞書(1603‐04)「ヒトノ イノチヲ tatçu(タツ)」
さえぎる。隔てる。 徒然草(1331頃)六「此所を切れ、彼所をたて。子孫あらせじと思ふなり」
広辞苑 他動詞 一本に続こうとするつながりを途中で切る意。
①続けていたものをやめる。
万葉集17「―・ちたる恋の繁きころかも」。
日葡辞書「サケヲタツ」「サケ・ユヲタツ」。
「食を―・つ」
絶つ・断つ・截つ
②続いていることをたやす。 後拾遺和歌集冬「さびしさに煙をだにも―・たじとや」
③終わらせる。亡ぼす。 万葉集20「おほろかに心思ひてむなことも(おや)の名―・つな」。
日葡辞書「イノチヲタツ」「ヒトノタネヲタツ」
④切り放す。切断する。 万葉集20「厩なる縄―・つ駒の後るがへ」。
日葡辞書「ノ(箆)ヲ、また、ヤノ(矢箆)ヲタツ」。
「鎖を―・つ」
⑤(「裁つ」と書く)布を衣服にするためにきりそろえる。 万葉集7「夏蔭のつまやの下に(きぬ)―・つ吾妹裏まけてわがため―・たばやや大に―・て」。
日葡辞書「キルモノヲタツ」「イシャウヲタチヌウ」
さえぎる。隔てる。 徒然草「此所を切れ、彼所を―・て」。
「敵の退路を―・つ」「交際を―・つ」
大言海 他動詞 (一){切リハナス。分ケテ(フタ)ツニナス。 萬葉集、七 廿七 「夏蔭ノ、ネヤノ下ニ、衣裁つワギモ、裏マケテ、吾ガタメ裁たバ、イヤヒロニ裁テ」
「絲ヲ斷つ」布帛ヲ裁つ」交リヲ絕つ」
絕・斷・裁
(二)トドムヤム 後拾遺集、六、冬「サビシサニ、烟ヲダニモ、たたジトヤ、柴折リクブル、冬ノ山里」
「酒ヲ斷つ」毒ヲ斷つ」
(三)絕ヤス。ホロボス 「命ヲ絕つ」
(四)遮リトドム。遮斷ス。 「糧道ヲ絕つ」
(五)橫ギル。 「河ヲ絕つ」
動詞活用表
未然形 たた ず、ゆ、る、む、じ、す、しむ、まほし
連用形 たち たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 たつ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 たつ も、かも、こと、とき
已然形 たて ども
命令形 たて

検索用附箋:他動詞四段

附箋:他動詞 四段

最終更新:2025年01月26日 19:46