たひ(鯛)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 名詞 ① スズキ目タイ科に属する海産魚の総称。全長三〇~一〇〇センチメートル。体は楕円形で著しく側扁する。頭と口が大きい。日本産タイ類では、体色は赤みを帯びるものと帯びないものがいる。ふつうは、淡紅色で体側に青色の小斑点の散在するマダイをさす。マダイは姿が美しく美味なので、日本料理では魚の王として重用し、「めでたい」に通じることから古くから祝いの料理に供する。マダイの代用にするチダイ、キダイのほか、ヘダイ、クロダイなど種類が多い。 万葉集(8C後)九・一七四〇「水江(みづのえ)の浦島の児が堅魚(かつを)釣り鯛釣りほこり」
土左日記(935頃)承平五年一月一四日「楫取きのふつりたりしたひに、銭なければ米をとりかけておちられぬ」
② 大きな利益や、すばらしい財宝などのたとえ。「海老で鯛を釣る」などの形で用いる。 雑俳・柳多留‐三二(1805)「釣り上げて見れば魚編取れた鯛」
③ ( 膝に①を抱えているところから ) えびすの異称。 雑俳・柳多留‐一四(1779)「俵のついでに鯛迄ぬすまれる」
[補注]( 1 )「万葉‐三八二九」に「醤酢(ひしほす)に蒜(ひる)搗き合(か)てて鯛(たひ)願ふわれにな見えそ水葱(なぎ)の羹(あつもの)」とあるように、古くから食膳に供され、刺身で食されていたことが分かる。
( 2 )和歌では、「詞花‐雑上」に「花ををしむこころをよめる」として「春来ればあぢ潟(かた)の海(み)ひとかたに浮くてふ魚の名こそをしけれ」とあるように、鯛が春の産卵期に浅瀬に群集するのを「浮く」といい、その色彩から「桜鯛」とも呼ぶ。「桜鯛」は俳諧では、春の季語である。
広辞苑 名詞 ①タイ科の硬骨魚の総称。体は側扁し、多くは紅色。小魚・甲殻類・貝類などを食う。近海魚でマダイ・チダイ・キダイ・クロダイなどがある。 古事記上「このごろ、―、喉に(のぎ)ありて」
②特に、マダイのこと。縁起のよい魚として尾頭付で祝事に用いる。
大言海 名詞 平魚 (タヒラヲ)ノ意ト云フ。延喜式ニ 平魚 (タヒ)トアリ。玉篇ニ、魚名。崔禹錫、食經「鯛、似鯽而紅鰭」トアリテ當レリ。朝鮮ニテ 道味 (トミ)魚〕
海產ノ魚。形、鮒ニ似テ扁ク、鱗、鬣、淡紅ニシテ、潮ヲ離ルレバ赤ク變ジ、鬣、殊ニ紅ナリ。同類ニ對シテ、()鯛、又、赤鯛、金鯛、金時鯛ノ名アリ。古ク、(アカ)()ト云ヘルモコレナリ。肉白シ、味ハ、春ヲ最美トスレドモ、四時皆佳ナレバ、慶賀ノ魚ノ第一トス。大イナルハ二尺餘ニ至ル。又、相似テ小サキヲかすごト云フ。鯛ノ類名、種類、甚ダ多シ。各條ニ註ス。棘鬣
倭名抄、十九龍魚類「鯛、多比」
字鏡 七十二 「鯛、太比」
古事記、上 六十八 「赤 海鯽魚 (タヒ)
仲哀紀、二年六月「時海鯽魚多聚船傍」萬葉集、九 十八 長歌「堅魚釣リ、鯛釣リホコリ、七日マデ」
神樂歌、磯等前「イソラガサキ、太比釣ルアマノ」

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最終更新:2025年02月08日 16:43