たふ(堪・任・耐・勝)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 自動詞 ① 喜怒哀楽などの感情を抑えて表面に出さないようにする。苦しみや圧迫などをこらえてじっと我慢する。こらえるしのぶ。古くは、多く下に打消の語を伴って、それができない意で用いた。 日本書紀(720)顕宗元年二月(図書寮本訓)「泣(いさ)ち哭(な)き憤惋(いた)むて、自ら勝(タフル)こと能はず」
尋常小学読本(1887)〈文部省〉七「能く辛苦にたへて」
堪・耐・勝
② 負担することができる。その任にあたり得る。応じ得る。それをすることができる。 地蔵十輪経元慶七年点(883)四「良福田とするに堪(タヘ)たり」
源氏物語(1001‐14頃)東屋「人の後見と頼み聞えんにたへ給へる御覚えをえらび申て」
③ その状態が変わらないで、持続する。もちこたえる 源氏物語(1001‐14頃)夕顔「命さへたへ給はずなりにしのち」
④ ( 多く「勝」の字をあてる ) すぐれる。堪能である。 宇津保物語(970‐999頃)祭の使「たへたることなき人だに身の沈むをば憂へとする」
他動詞 支え止める。さえぎる。防ぎとめる。 日本書紀(720)継体二一年六月(前田本訓)「毛野の臣の軍を防遏(タヘヨ)とすすむ」
[補注]中世からヤ行にも活用した。→たゆ(堪)
広辞苑 自動詞 ①力いっぱいこらえる。じっと我慢をする。 万葉集10「―・へぬ心になほ恋ひにけり」。
源氏物語桐壺「げにえ―・ふまじく泣い給ふ」。
天草本平家物語「暑さも―・へがたいによつて」。
「苦痛に―・える」
堪ふ・耐ふ
②(ある事に)当たることができる。 源氏物語東屋「人の後見と頼み聞こえむに―・へ給へる御覚えをえらび申して」
③持ちこたえる。 源氏物語夕顔「命さへ―・へ給はずなりにしのち」。
「この時計は一〇年間の使用に―・える」
④それをするだけの価値がある。 「一読に―・える」「見るに―・えない」
⑤力量がある。堪能である。すぐれる 無名抄「歌の道その身に―・へたることなれば」
大言海 自動詞 當リ得。撓マズ支フ。コラフ。忍ブ。 名義抄「耐、タフ、堪、タヘタリ」
源、三十四、下、若菜、下 七十 「命モたふマジク、身ヲクダキテ、思シ惑フヲ」
新續古今集、序「多ク家家ニツモレル言ノ葉ハ、五ツノ車ニ載ストモたふマジ」
繼體紀、八年正月「妃臥床、涕泣惋痛、不(タフルコト)
萬葉集、二 廿三 長歌「 現身 (ウツセミ)シ、神ニ(タヘ) 勝者 (ネバ)、離レ居テ、朝嘆ク君、(サカ)リ居テ、吾ガ戀フル君」(言問ヒ奉ツルコト能ハネバ)
千載集、十三、戀、三「思ヒ侘ビ、サテモ命ハ、アルモノヲ、ウキニたへヌハ、淚ナリケリ」
「苦ニたふ」寒サニたふ」見ルニたへズ」
堪・任・耐・勝
動詞活用表
未然形 たへ ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 たへ たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 たふ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 たふる も、かも、こと、とき
已然形 たふれ ども
命令形 たへよ

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検索用附箋:他動詞下二段

附箋:下二段 他動詞 自動詞

最終更新:2025年02月09日 14:08