たむ(揉)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 他動詞 ① 木・竹などをあぶったり濡らしたりして、曲がっているのをのばし、また、まっすぐなのを曲げて、形を整える。 〔二十巻本和名抄(934頃)〕
碧巖雷沢抄(1533)一〇「弓をたむること、箕の手をたむる如くなるぞ」
矯・揉・撓
② 改め正しくする。矯正する。ためなおす。 古活字本荘子抄(1620頃)五「刻意とは意のわるき処をきりきざむやうにたむるを云」
③ 真実をねじまげる。こじつける。文意をまげる。 日本後紀‐延暦一八年(799)二月乙未「矯八幡神教言。令道鏡即帝位。天下太平」
読本・春雨物語(1808)天津処女「妖僧道鏡きほひて、宇佐の神勅を矯さするに、清万侶あからさまに奏せしかば」
④ ねらいをつける。片目をふさいでねらう。また、視点を定めて見つめる。じっと見る。→ためつすがめつ 寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「畏たと云て矢をためて射としたれば」
日本橋(1914)〈泉鏡花〉四四「もの思はしげな清葉の容子を、最う一度凝(タ)めて視て」
広辞苑 他動詞 ①まがっているのをまっすぐにする。また、まっすぐなのをまげる。 〈倭名類聚鈔13〉。
(つの)を―・めて牛を殺す」
矯む
②改めなおす。正しくする。 日葡辞書「ヒトノクセヲタメナヲス」
③いつわる。曲げる。付会する。 胆大小心録「推古の勅をたまはりて、嗣位あらんを 蝦夷 (えみし)の―・めて、…善柔の人をゑらみて即位なしませしなり」
④ねらいをつける。ねらいをつけて放さない。ねらいみる。 日葡辞書「テッポウヲ(鉄炮)タムル」。
「―・めつすがめつ」
大言海 他動詞 (一){木竹ナド、炙リ、又ハ、(ヌラ)シナドシテ、伸ベ、或ハ(カガ)メテ、形ヲ改ム。(タムル)(タムル) 倭名抄、十三弓劒具「揉、太無、以火屈申木也」
後撰夷曲集(天明)「ヒガラメヲ、ためツケ寄リテ、刺ス竹ノ、ヤブニラミトハ、コレヲ申サム」
(二)轉ジテ、スベテ、物事ヲ改メ正シクス。責メナホス。 「角ヲ矯めテ牛ヲ殺ス」
(三)(イツハ)ル。 「詔ヲ矯む」(卽チ、いつはるト訓ムベキ誤ト云フ)
(四)控ヘ支ヘ持ツ。持滿 支持(狙ヒテ未ダ放タヌニ云フ) 後拾遺集、十九、雜、五「ミチノクノ、安達ノ眞弓、君ニコソ、思ヒためタル、コトハ語ラメ」
常山紀談(元文)四「千介(朝日)鐵炮ヲためスヱ、西鄕(伊豫)ヲ馬ヨリ打落シ」
「弓ヲたむ」鳥銃ヲたむ」
(五)轉ジテ、片目塞ギテ狙ヒ見ル。 「ためツ、スガメツ」
動詞活用表
未然形 ため ず、らゆ、らる、む、じ、さす、しむ、まほし
連用形 ため たり、き、つ、ぬ、つつ、たし、ても
終止形 たむ べし、らし、らむ、ましじ、まじ
連体形 たむる も、かも、こと、とき
已然形 たむれ ども
命令形 ためよ

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附箋:下二段 他動詞

最終更新:2025年02月16日 16:37