に(助動詞ロ)

辞書 品詞 解説 例文 漢字
日本国語大辞典 助動詞 (上代の打消の助動詞の連用形) …ないで。…ないので。 ※古事記(712)中・歌謡「己(おの)が命(を)を 盗みしせんと 後(しり)つ戸よ い行き違ひ 前つ戸よ い行き違ひ 窺(うかが)はく 知ら爾(ニ)と 御真木入日子はや」
※伊勢物語(10C前)三四「いへばえにいはねば胸にさわがれて心ひとつに歎くころかな」
[補注]上代でも、「知らに」「飽かに」「かてに」などつく語は限られているが、「知らなく」などの「な」をあわせて、「ず」の連体形「ぬ」、已然形「ね」とともに、打消の助動詞として、ナ行四段型の古い活用があったことを示している。打消の「ず」は、この「に」に「す」が付いたものの変化といわれる。→にす
広辞苑 助動詞 奈良時代に否定の意味で使われた。連用形の用法がある。…ないで。…ずに。否定の助動詞「ず」に「ぬ(連体形)」「ね(已然形)」の形があり、同じナ行であることからこの「に」と同源とする考えもある。平安時代には助詞「に」と混同された。 万葉集2「嘆けどもせむすべ知ら―恋ふれどもあふよしをなみ」。
万葉集3「稲日野も行きすぎかて―思へれば心恋しき加古の島見ゆ」
大言海 助動詞 ()ノ變化ノぬノ轉。 萬葉集、一長歌「草枕、タビニシアレバ、思ヒ遣ル、タヅキヲ知ラ爾」
「飽カ」言ヘバ()

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最終更新:2024年05月10日 21:08